テラーノベル
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晶子は驚きのあまり声が上ずった。今まで両親からも、学校の先生の誰からも、学校の同級生たちからも、そんな考え方を聞かされた事はなかった。
言葉がうまく見つからず、つっかえながらカンナに言った。
「投資って、お金を儲けるって事だよね。どうして大学に行って学問をする事が投資になるの?」
「そういう所がいい家のお嬢さんなんだよな、晶子は。ま、それが晶子のいいとこだし、あたいが好きなとこでもあんだけど」
カンナはグラスのジュースをグイッと飲み干して、重ねた両腕をテーブルの上に置き、顔を近づけた。
「いいか、晶子。高校も大学も、授業料って高い金払って通うとこなんだぜ。金払うからには元を取らなきゃ意味がないだろ? それとも晶子の家じゃ、黙ってても親が授業料払ってくれてるだろうから、意識した事もなかったんじゃないか?」
「あ、言われてみれば、学校の授業料の事なんて考えた事もなかった。あたし、中学から今の私立だから、ずっとお父さんとお母さんがお金払ってたんだよね」
「あたいは、父ちゃんが稼ぎが無い時は自分のアルバイト代で授業料払ってるから、嫌でも意識すんだよな。あたいが今の定時制高校選んだのは、払った授業料に見合った分だけ、将来稼げるようになれると思ったからだ」
「そ、そんな事まで考えてたの? あたしと同い年なのに!」
「高校、ましてや大学に行くってんなら、将来稼ぎのいい大人になれなきゃ元が取れねえじゃん。授業料とか払っただけ損になる。その典型が良太だよ」
「でも、良太さんも一度は就職したんでしょ?」
「なあ、晶子、高校生の就職活動ってどうやるか、知ってるか?」
晶子がまた首を横に振った。カンナが、そうだろうな、と言いたげにうなずき、話を続けた。
「ほとんどの場合、学校が特定の会社に斡旋してくれて、面接とかに行くわけだよ。でも高校生の場合、基本1社しか応募できないんだ」
「え? あたしの親戚のお姉さんは何十社も受けたって言ってたけど」
「そりゃ大卒の場合だよ。高校生の就職活動は一人1社しか受けられない。で、最初の会社で、ええと、何て言ったっけ? ほら、うちで雇ってやるっていう通知というか何と言うか」
「ええと、内定の事かな?」
「ああ、それだ。内定だ。で、1社から内定もらうと辞退できない。その後でもっと良さそうな会社が見つかったとしても、乗り換える事は許されないんだ」
「ええ! そうなの? でも、もしその最初に内定くれた会社が自分に合わなかったら、どうなるの?」
「アウトだ。嫌でもそこにしか就職できないからな。良太がその典型だ。どう考えてもあいつの性格には向かない仕事の会社に行くしか選択肢がなかった。それですぐにやめちまって、その後はずっとフリーターだ」
#青春恋愛(多分)
もな
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コメント
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カンナの「大学に行くのも投資」っていう考え方、晶子が衝撃受けてるのがすごく新鮮でした。同じ年なのに、育った環境でここまで人生観が違うんだなって。高校生の就職活動が1社しか受けられないって仕組み、初めて知りました……良太さんの例も含めて、リアルな社会の厳しさがひしひしと伝わってくる回でした。