あきんど用の服装を脱ぎ、ひさしぶりにセラフィナの隊服の袖に腕をとおした俺は、使い慣れた長剣をベルトにつるし終えてひと息ついていた。
（……やはり、この服を着ると気が引き締まるな）
ここしばらく巡礼者や商人に変装することが多かったから、どうにも普段の自分ではないようで落ちつかなかったのだが、やっと本来のあるべき自分に戻れた気がする。
あれから、傭兵団オズウェルとともにラザラスの聖女奪還作戦を詰めた俺たちは、その準備を整えるためにいったん自分たちの宿に戻ってきていた。
作戦の決行は今夜――晩餐会のあとで領主館が食後の団らんでにぎわっているところを攪乱し、しのび込む手はずになっている。
そういった奇襲のやり方は傭兵団のチャドたちが慣れているとのことだから、そのあたりの手順はチャドたちに任せて、自分たちは利緒を救出することに専念すればよさそうだ。
きっと自分たちだけでは、ここまで用意周。。。
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