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私******
「お兄ちゃんはあたしのもの!」
そう言って僕の腕にしがみつく妹を見て、母は言った。
「あんたたち本当に仲良しね」
僕はその言葉を聞いて思ったんだ。
僕の妹は可愛いなって。
僕は妹のことが大好きだった。
妹は僕にとって天使のような存在で、いつでも僕の側に居てくれたし、いつも笑みを絶やすことなく、どんなときでも僕を守ってくれた。そんな彼女のことを僕は誰よりも愛していた。
しかし彼女はある日突然死んだ。交通事故によって命を落としてしまったのだ。
その日から僕はずっと泣いていた。食事をとることができず、学校にも行けなかった。ただベッドの上で泣きじゃくる日々が続いた。
そんなときに現れたのが彼女そっくりの妹ロボット、ミミちゃんだった。
『大丈夫だよお兄ちゃん』
そう言って彼女が抱きしめてくれるだけで、僕の涙はすぐに止まる。
ああ……やっぱり可愛いなあ。
「おーい」
「お姉ちゃん、今日は何の日でしょう?」
「えーっと……」
「ヒントは『ネズミ』!」
「あぁ~……うん」
「答えはクリスマスイブだよ!」
「それは違うと思うけどね」
「えぇ!? じゃあお姉ちゃんは何を言ってたのさ」
「だから、今日は『猫の日』だってば」
「…………」
「…………」
「そうだったんだ。ボク知らなかったよ」
「うん、まぁ知ってたらびっくりだけどね」
「ところでお姉ちゃん」
「はい?」
「その……さっきの話だけど」
「えっと……どの話でしょう?」
「だからほら、僕の……」
「ああ!」
「うん、それでね。僕は今年こそお姉ちゃんにプレゼントを渡したいんだ」
「あら嬉しいですねー。でも無理しなくていいんですよ?」
「そんなわけいかないよ。僕だってもう子どもじゃないもん」
「ふむ……ではこうしましょう。明日、私があなたにクリスマスケーキを作るので、それを一緒に食べながら渡してください」
「わかった。ありがとう、楽しみにしてるよ」「ああっ!? 違います違うんです! そういう意味じゃなくってぇ~!!」
***
――翌日。
「おはようございます。今日もいい天気ですよ」
「んぅ……おねえちゃぁん……」
「まったくもう、甘えん坊さんな弟くんですね。よしよし」
「ねぇお姉ちゃん」
「はい?」
「メリークリスマース♪」
「わっ、びっくりしました。どうしたんですか?」
「あのねー、ぼく、ずっとここにいたんだ」
「そうなんですか?でも、さっきまでいなかったような……」
「うん、そうだよ。だってぼくは、いつでもそこにいるし、どこにもいないんだもん」
「えっと……どういう意味ですか?あ、ちょっと待ってください!」
「ん~?」
「はい、これあげます」
「なぁに?くれるの!?」
「クッキーですよ。甘くておいしいです」
「ありがとう!ねえ、お兄ちゃんの名前はなんていうの?」
「僕はアベルといいます」
「そっか。じゃあね、アベル。ばいばーい」
「また来てくださいね。今度は、お茶を用意しときますから」
「やった!やくそくどおりだよ!」
「えーっと、その前に約束してたよね?」
「うん」
「あのね、約束っていうのは…………」
「わかった」
「あぁ、そういえば、約束といえば、君と僕との初めての約束だったんだよね」
「そうだね」
「ねぇ、君は覚えてるかな?僕らが初めて会ったときのことをさ」
「もちろん、覚えてるよ」
「あの時僕は、君のことを天使みたいだって思ったんだ」
「ふぅん」
「それで、今こうして一緒にいることが不思議でしょうがないんだ」
「そうなんだ」
「でもきっと、それが運命ってやつなんだろうなって思うんだ」
「へぇ」
「ところで、今日は何をしに来たの?僕のお見舞い?」
「違うけど」
「じゃあ、一体何をしにここに来たの?」
「内緒」
「教えてくれたら、君の言うことなんでも聞いてあげようと思ったんだけどな」
「別にいいもん」
「そっか」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「