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北斗の手術の際に、聴覚を司る神経を少し傷つけてしまったようだ
腫瘍の一部を取り除くことはでき、症状は落ち着くようだが…
「北斗に会いに行こう」
高地のその一言で、俺たちは北斗の病室へと向かった
手術の後から、俺たちは北斗の病室から足が遠のいていた
北斗が、辛いかもしれないって
結局は俺たちの心の整理ができていないだけだったのに
でも北斗も大事なSixTONESのメンバーだ
覚悟を決め、5人で北斗のもとへ向かった
北斗は寝ていた
だが寝ているその背中は、いつもより寂しそうだった
「北斗。」
そう樹が呼びかけても北斗は振り返らない
俺は北斗の方を軽く叩いた
「うわっ!」
すると北斗は普段見せないような驚いた顔を見せた
「よ!久しぶり、体調ど?」
そう慎太郎が聞くと、北斗は俯いた
「ごめん。なんか全然聞こえないんだよね。この紙に書いてほしい」
衝撃だった
医者からは少し聞こえにくくなっただけとしか聞いていなかったのに、こんなに…
「ん、」
側から聞こえた慎太郎の声は、北斗に紙を差し出した際のものだった
「うん。体調良いよ。結構元気」
慎太郎が紙に書いた事に返答する北斗は、少し寂しそうに見えた
5人の間に沈黙が流れる
少し経った後北斗は
「もうさ、帰って良いよ」
と暗い声で言った
「なんでだよ。来たばっかだぞ?」
そう樹が聞いても、北斗は首を振っている
「なんでかを言ってくれないと俺たち帰れないよ」
そう子供をあやす様にジェシーが北斗に伝えると、北斗は結んでいた口を開いた
「あんま聞こえないからさ、喋ったら変な感じして嫌なんだよね…俺だってみんなといたいけど、ちょっと頭痛くなるし…心もしんどい。もう…SixTONESに俺はいることができない」
そうか、北斗は自分の声が聞こえない状態で話さないといけないのか。
今日は俺たちは帰ったほうが良さそうだ
でも、
「北斗はずっとSixTONESに必要だよ」
北斗がいなかったら、
SixTONESはSixTONESじゃない、絶対
「北斗がもし、いなくなってもSixTONESに松村北斗はいる。勿論、それは他のメンバーであっても同じ」
これが、俺が北斗に伝えたかった事なんだ
心が軽くなった気がした
「うん…ごめん京本。SixTONESにはいるよ。でも…もう活動はできない。ごめん」
「それはわかってるよ。大丈夫」
そう、慎太郎が微笑んだ
「あ…でも」
北斗が何かを言いかけて止まった
「どうしたの?」
俺がそう問うと、北斗は
「最期に…みんなでライブがしたい」
思ってもいない言葉だった
今の北斗の状況じゃ、とても無理ではないか
「ライブじゃなくても、何か披露したい。
俺の…遺言みたいな感じで…ね」
北斗は申し訳なさそうにこちらを見た
北斗がやりたい様に、と思った
「北斗ができるんなら、やろう!」
「ありがとう!」
「いつならいけるかな」
「樹動き出すの早いね、」
「いやこういうのは早いほうが良いんだよ!」
「はははっ」
いつも通りのSixTONESに、
あの時間は戻ることができていた