第2話
また夢を見た。
今度は門の近くで私と少女が指南書のようなものを一緒に読んでいた。
うーん。夢に出てくる少女は本当にあのキョンシーなのだろうか?いや、なら何故少女とあれ程似ているのか、と新たな疑問が生じるのだが。ぐぅ〜〜 …お腹が空いてはいくら考えても考えがまとまらない。朝ごはんを早く食べよう。
今日は昨日のキョンシーとまた会う約束をしていた。その時に私の夢に出てくる少女なのかどうかを定めようではないか。もしもの為に朝食で余った煮物を持って言って恐喝しよう。
ん…?あれ!?私が食べ残した煮物をキョンシーに食べさせると関節kissにな…る…いやいやいや、ならないか仙人とキョンシーのkissが成り立つはずがない。謎の理論で自分を落ち着かせる。しかし…今日は生憎の天気の雨だ。 もしかしたらキョンシーが来ない可能性だってある。まあ、もしキョンシーが来なくたってパトロールになるし!!!キョンシーがいなくたって寂しくないし!!…でも…本当にどうしよう…実は昨日、明日が待ち遠しすぎて気が高揚してあまり眠れなかったのだ。
今日は昨日夜更かししちゃったから眠気があるし…かと言ってキョンシーとの約束を破ったらもう会えなくなってしまうかもしれない…まあ正確には約束ではなくてあっちが勝手に また明日 と、伝えてきたのだが。悩んでいても仕方がない。善は急げ、だ。もしかしたら私がこうしてウズウズしている間にキョンシーは帰ってしまうかもしれない。
約束の場に着いたのだが……
例のキョンシーが見当たらない。まさか、もう帰ってしまった?それとも雨だから来ていないのか…。 念の為大木の近くに寄る。雨の日に初めて墓地にきたが、雨の日はまた晴れの日とは違う雰囲気だ。なんだか禍々しさが追加されたような…。しかし大木は違う。よりお淑やかさが増したような…読書に最適な雰囲気を醸し出している。
「ヨー。また来たゾー」
その声に私は振り返る。キョンシーが来たようだ。なのだが…… なんということだ。札が着いていた…つまり…このキョンシーは青娥のキョンシーだということだ…確かによく考えてみれば服装も青娥好みっぽい。札が着いていないなら野良のキョンシーだー。青娥のキョンシーじゃないね。と思っていた昨日の私に説教をしたい気分だ。 だが、今はそれどころでは無い。キョンシーに私の夢のことを聞かなければならない。
「えーっと…貴方は羅城門の下で私のことを見た覚えは無い?」
「あなたじゃなくてー…芳香だぞ〜」
芳香…どうしよう。風の噂で聞いたのだが前に豊聡耳神子が幻想入りする時の異変に宮古芳香というキョンシーが青娥と共に霊夢たちの行く手を邪魔したという… なんで豊聡耳は幻想入りするだけで異変になるんだよ!? いや、今はそこでは無い。早く話の続きをしなければ。
「あ、芳香?私は華扇というの。で、えー…何処かで私を見たことは無いかしら?些細なことでもいいわ」
「かせんを見たことはないと思うぞ〜。せーがと一緒にいる記憶しかないからなー」
何…それ。私の夢は多分、いや絶対過去に実際にあったと思うのに…見知らぬ人なんて夢に出てくる訳がない。しかもあんなにくっきりと… でも青娥に脳を弄られたり記憶を改ざんされたりしているのなら仕方がない。今日はもう天気も悪いし煮物を食べたらすぐに帰ろう。
「ねぇ、私、煮物持ってきたんだけど…食べる?」
「え、いいのかぁ〜?私はなんでも食べれちゃうゾ〜〜」
言葉の通り、芳香は何でも食べた。 煮物を入れてきた容器や箸、挙句には私の手までも食べそうになっていたわ。流石キョンシー。恐るべし。今日はもう解散しよう。そうしよう。これ以上怖い思いもしたくないしね。
「芳香、今日はもう帰りま…」
…またやられた。いつの間にか芳香はどこかへ行ってしまった。足元はと言うと…
ま…た…コン…ど…
また今度!?日付の指定ぐらいして欲しいわ。でも一体いつの間に…私の修行がまだまだ足りないのかしら。でもまあ…また今度…ね。
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