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蓮は、奨の腕の中で、ゆっくりと呼吸を整えた。
奨が話すすべてのことは、あまりにも非現実的で、信じがたいことだった。
だが、奨の目を見れば、それが嘘ではないことがわかる。
そして、何よりも、奨が自分に秘密を打ち明けてくれたことに、蓮の心は安堵していた。
「怖かった…俺、奨くんが未来で、俺のこと嫌いになってるんじゃないかって、ずっと不安だった」
「そんなわけないでしょ?。未来でも、俺は蓮のこと、めちゃくちゃ好きだったよ」
奨の言葉に、蓮はくすりと笑った。
「奨くんが…未来から来てくれて、よかった」
蓮は、奨の背中に、そっと腕を回した。
未来の記憶を持つ奨。 何も知らない今の自分。
二人の間には、大きな時間の壁があった。
だが、その壁は、二人の絆を、より強く結びつけるものになった。
この世界で、蓮は奨の隣にいる。
そして、奨もまた、蓮の隣にいる。
過去の過ちを繰り返さないように、未来の記憶を頼りにしながらも、この瞬間の二人の関係を大切に育んでいくことを、互いに誓った。