朝。
カーテンの隙間から差し込む光に、初兎はうっすらと目を開けた。
温かい。いや、重い。
……と思えば、自分にのしかかるように腕をまわしたいふの顔が、すぐそこにあった。
「……ちょ、重いって」
「んー……まだ寝てていいよ、俺が起こすまで」
「いや、あなたが起こしてんだよ……」
ベッドの中、しっかり抱き込まれて逃げ場もない。
しかもいふは、寝起きとは思えないほど甘い目で見つめてくる。
「朝からかわいすぎるんだけど、どうした?」
「ほっといてよ……てか、昨日のこと、まだ根に持ってんの?」
「え、めちゃくちゃ根に持ってるけど? 夢でも初兎独り占めしてたわ」
「重症すぎるやろ……」
「でもさ」
いふは、初兎の髪をそっとかきあげて、額に唇を落とす。
「俺に“まろちゃんだけだよ”って言ってくれたの、ずっと頭から離れない」
「……恥ずかしいこと、覚えてないでよ」
「一生覚えてるよ。録音しときゃよかった」
「やめて。録音されたら二度と喋らん」
そんなやり取りをしながらも、
初兎は、いふの胸にそっと頬を寄せて、ぎゅっとしがみついた。
「……今日くらい、昼まで寝てていい?」
「もちろん。今日は予定もないし、初兎を甘やかす日って決めた」
「勝手に決めないでよ……けど、まあ……いーや」
「ん? なんて?」
「何でもないよ、バカ」
耳まで赤くなった初兎を見て、
いふはにやりと笑って、もう一度抱きしめた。
朝はまだ、俺のもの。
そう思えるこの時間が、何より幸せだった。
コメント
2件
やばい好きすぎる…本当ずっと見てるんですけど全部好きすぎて…天才すぎるッッいっつも悶えてます🥰