コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今日はまふゆと二人でお出かけ。まさかこんなに気軽にまふゆと出かける日が来るなんて思わなかったけど。
「あ、クレープ屋がある。食べたい」
「うん、買っていいよ」
「うーん、どれがいいかな〜」
まふゆの手をひいてメニューを見に行く。
チョコ、バナナ、ストロベリー、抹茶、キャラメルといった色んな味、そして中身に果実、アイス、生クリームなど色んなボリュームのラインナップ。どれにするか迷ってしまうが、どうせ食べるなら映えて美味しいやつ一択。可愛さを求めてストロベリー、見栄え的に上に果実が乗ったもの、そして美味しさ的にアイスが入ったものがいいだろう。
「ストロベリーアイスクリーム一つ」
「はーい」
お金を払う。次に目の前で生地がひかれて焼かれていく。クレープは出来るのが早いから好きだ。生地の匂いがふんわり香る。
「……私さ、昔生地を作ろうとして失敗したんだよね。何回もやったけどお店みたいに薄くできなくて。破れちゃうから厚くやるんだけど。それっきり作るの諦めちゃった」
「……これくらいなら。作ろうか?」
「ええ〜まふゆに出来るの〜?」
「絵名よりかは器用で、諦めない自信はあるよ」
「はあ!? 私だって諦めない心くらい持ってますけど!」
「知ってる」
「はあ……!?」
まあそんなこんなでクレープが出来て、手渡されるのでそれを片手で受け取る。たっぷりのクリーム上にいちごが乗って、ストロベリーソースがかけられたもの。アイスクリームは中に入っている筈だ。
「まふゆ、写真」
「はいはい」
スマホを取り出してカメラをこちらに向ける。
「はい、チーズ」
カシャリという音が二回鳴って、まふゆはスマホを下ろしこちらに見せた。クレープと私が綺麗に撮れている。よしよし。
「あーいい感じ。後で送ってよ」
「うん」
写真も撮れて満足なので、私はクレープにかぶりつく。みずみずしいいちごの果実を包むようにクリームが口いっぱいに広がる。ストロベリーソースもいい濃さ甘さでクリームに溶け込んでいる。つまりは美味しい。
「うん、おいひい」
「良かったね」
ただクリームが多くて、口の端に付いてしまう。ただ、手はクレープとまふゆによって塞がれている。舐め取るしか──
不意に。まふゆの手が伸びてきて口の端のクリームをすくい上げて、取った。ありがたいと思ったのも束の間、それを舐めるまふゆ。
「へ?」
「うーん……味、美味しそうだったんだけどな」
「え、ん、何、欲しかったなら言ってくれれば別に」
「分かると思ったんだけど」
「はぁ……。もっといる?」
「ううん、いらない。見てるだけでいいよ」
それはそれで……どうなんだ。
まあいいか。私は再度クレープにかぶりついた。まふゆの視線が少しむず痒かった。