テロリスト集団の目標は『光の帝国』排除という面で一致している。そしてアンダー・ジャスティスは呪われた存在を救済し仲間にして、ニャルラトホテプ教団は滅殺する。
その道程に違いはない。武力と権力だ。そしてアンダー・ジャスティスの動向はある程度エーゼ・ロワンで方向付けできる。
エーゼ・ロワンには『同士の救済』と『ニャルラトホテプ教団への襲撃』を手段を問わず行う事を指示して、公的な影響力を削ぐ。
ニャルラトホテプ教団に関しては基本的に放置。
アンダー・ジャスティスが勝手に攻撃してくれるので、本物の星十字騎士団がアーティファクトを使った隠密機動部隊を組織し、既に浸透してしまった権力や地位を持つニャルラトホテプ教団のテロリストだけを弾いていく。
地方でちょろちょろしているやつらは見逃す。逆にアンダー・ジャスティスはニャルラトホテプ教団は女子供も含めて怪ければ皆殺しをアルファが指示している。
その空いた人員には星十字騎士団が、人道支援と称して現地の戦闘調査員を育成する為に支援した孤児院出身者や没落貴族を穴埋めに使う。
と、いうわけで、権力一極集中に加えてテロリストを削いだし、星十字騎士団・部隊長クラスが100人、一般兵が10000人が治安維持にしているのにテロリストが暴れていた。
場所は危険分子と判断された人間が、権利を剥奪されて放り込まれてる王都スラム・ゲットーだ。ゲットーとはヨーロッパ諸都市内でユダヤ人が強制的に住まわされた居住地区である。 第二次世界大戦時、東欧諸国に侵攻したナチス・ドイツがユダヤ人絶滅を策して設けた強制収容所もこう呼ばれる。 アメリカ合衆国などの大都市におけるマイノリティの密集居住地をさすこともある。
そこに押し込まれたテロリスト総勢が、市街地出ようと数百人が魔法で砲撃をしてくる。
星十字騎士団一般兵二人が、汎用霊子兵装の弓矢型の神聖弓と神聖滅矢で魔法の迎撃と応戦をする。
「クソ!! なんであんだけ人員補充がされたのにテロリストが暴れてるんだよ!!」
「そりゃあデカいからだろ!! 王都だけで日本の五倍はあるんだからな!! しかもどいつもこいつも魔法が使えて人を殺すのに躊躇いがない! アメリカのスラム街より治安が悪いぜ!!」
「そんな地域をたった一万人前後で守るなんて不可能なんだよ!!」
「黒崎創建様も、キルゲ・シュタインビルド様も頑張ってらっしゃるけど、流石に突発的に爆発するテロリストなんて対処なんてできないんだろ!! あの人たちは強いけど今の職務は政治だからな!!」
「つーかアメリカの数倍でかい土地に、くそみたいな化物に、全員が無限ロケラン持って中性ヨーロッパの論理感の世界とか、ふざけんなよなぁああ!!」
青い光と魔法がぶつかり合って爆発する。光の帝国・星十字騎士団は、その現地との戦力差から二人一組の警備体制で王都の治安を守ってきた。それは実際に敵を倒すのが目的ではなく、頻繁に星十字騎士団の制服を見せる警邏隊の姿を見せることで、危険分子の活動を抑制していたのだ。
なので、なりふり構わない物量作戦による自爆テロなどをされると数の差で負けてしまう。星十字騎士団の聖数字持ちが出陣すれば皆殺しは可能だが、政治的、人員的な意味で戦術目標であるアーティファクト収集に支障が出る。
「やばくね?」
「めっちゃやばい」
下級の一般兵士には流石に手の余る数だ。
「これ、被害出したら俺たちのせいかな?」
「かもなぁ。キルゲ隊長に殺さるかも」
「じゃあ、死んでも市民を死なせるわけにはいかねぇな」
「良い心がけね。手助けするわ」
「え?」
一般兵が下を見ると魔剣士が立っていた。
制服姿の短いスカートを履いたアイリスディーナで間違いなかった。
「もう諦めなさい。あなた達では私達に勝てないわ」
戦いはアイリスディーナが参戦した事で有利に進んでいた。テロリストの黒ずくめの男達も弱くはないが、怪物化による副作用によって大きく魔力が増大して、響音速転移動法はを獲得し高速移動して首を飛ばしていくアイリスディーナには届かない。
黒い外套は切り裂かれ、血痕が石畳を染めている。
もう一押しあれば、テロリストとの勝負は決するだろう。
アイリスディーナは、テロリストの一人を串刺しにして、問いかける。
「なぜ罪もない人を殺めるの? これがあなた達の戦いなの?」
「我らはアンダー・ジャスティス……」
「ふぅん? そう」
カラン、と。
石畳に落ちた何かが落ちた音が鳴った。
それは五角形の殲滅十字。
そして、赤い水と肉が落ちてくる。
下級一般兵殲滅者の生首が、アレクシアの前に転がった。
「……ッ!」
アイリスディーナはすぐさま響音速転法でその場を離脱した。しかし相手は、それを上回る速度で攻撃を仕掛けてくる。さらなる追撃を咄嗟に防ぎ、そのまま相手の白い手を蹴って距離を取る。
少し乱れた息を整えながら、アイリスディーナは新たな敵を見据えた。
二階建ての建物を越える、つまり5メートルほどの身長を持つ、異形の仮面と胸に空いた穴。
アイリスディーナは舌打ちした。
これで
相手は強い。
実力差では1人なら勝てる。
2人でも負けはしない。
しかし、3人相手は……。
「か弱い乙女相手に3対1なんてひどいわ」
会話につき合ってくれればいいが。
「そうだ、1対1を3回やりましょうよ。ダメ?」
じりじりと囲まれていく。
アイリスディーナは立ち位置をずらしながら、背後だけは取られないように動く。
「ほら後ろを見て、お月様があんなに綺麗」
背後に回ろうとする敵を視線だけで牽制する。
剣を細かに動かし、互いにさぐり合う。
「あら、見ないの? でも見た方がいいわ」
アイリスディーナは微笑む。
「■■■■■■■!!」
一匹の怪物が吼えた。
即座に、アイリスディーナは動いた。
響音速転法で敵の背を、白刃が切り裂く。
『死ね』
声には出さず、アイリスディーナは嗤った。
黒い外套を斬り、鮮血が舞う。
だが、まだ浅い。
もう一撃、とどめを……。
その瞬間、アイリスディーナの腹部を衝撃が貫いた。
「ァグゥッ……!」
脇腹に、白い拳がめり込んでいた。
バキバキと肋骨の折れる音が聞こえた。
アイリスディーナは血を吐きながら剣を振り、白い腕に剣を突き刺す。 しかし寸前で避けられて、アイリスディーナの剣は石畳を叩いた。
間合いが外れた。
アイリスディーナはペッと血を吐いて、跪く。
アイリスディーナは怨恨をこめて睨んだ。
3対1、数は変わらない。
しかし状況は悪化した。敵の2人は無傷、1人は重傷だがまだ剣を持っている。無視はできない。 対してこちらは肋骨へし折られて、ついでに肺に刺さっている。
殺される、と。アイリスディーナは思った。
だから仕方がない。
「まだ修行中で、理性を完全に保ってられる時間が少ない。だから、やりたくなかったけれど、見せてあげる。怪物化よ。11秒フラットでケリをつける」
霊圧を手に集めて、仮面を被る。
その瞬間。
霊圧が跳ね上がった。
剣からアイリスディーナの魔力が迸る。
二振り。
それで巨大な虚は切り裂かれた。そして最後の一匹を斬り殺したところで、特異な霊圧が屋根から自分観察しているのを理解した。
「怪閃・斬撃砲撃」
周囲の魔力と霊子を集めて、斬撃と一緒に解き放つ。屋根に隠れていた人に直撃し、爆散する。そしてそこには漆黒の姿をした人がいた。
「……貴方はアンダー・ジャスティスのリーダー・ホワイト!!」
「いきなり攻撃とは、野蛮だな」
「女の子を隠れて視姦してる性犯罪者には相応しい一撃よ。それなにその黒い服、ダッサ。顔を隠すわけでもない癖に長い首のやつに、意味もなくバタバタするコート。機能美もなく、美的センスもないカスみたいな服装。やめたら? その福着るの」
「ま、分からないか。この|領域《レベル》の話は」
「は? 殺す!!」
アイリスディーナは全力で襲いかかった。
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