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「もう直ぐハロウィンですわ。」

ナオミが探偵社のカレンダーを見て呟く。その呟きに反応して与謝野がふと疑問に思う。

「確かに。今年は何か用意でもするのかい?」

「そうだな。今年は敦も鏡花も賢治もいるので菓子の一つや二つぐらいは用意でもしよう。」

「国木田ー!僕の分も用意しろよ。」

「勿論です。乱歩さん。」

「国木田くん!私にも用意してくれるかい?運が良ければ飴が喉に詰まるかも!」

「貴様は!だらだらと寝ていないで!仕事をしろ!大体お前は!」

「あの…ハロウィンって何ですか?」

太宰に向かって国木田の説教が始まるかと思った矢先に敦が申し訳ないとでも言うようにして問い掛ける。後ろにいた賢治も分からないというようにしていた。それもその筈賢治は田舎にいた為まだ都会の文化には不慣れなのだ。敦も施設育ちであり、居た施設も中々に異様な場所だった為知らないというのも納得がいった。

「ハロウィンというのはね。この世とあの世の境界線が曖昧になる時期と言われていてね。お化けなんかの仮装をして悪霊から身を守る。って言う日なのだよ。元々秋の収穫を祝う村のお祭りだったのだけどね、それが段々変化して子供が仮装をしてお菓子を貰ったり、親族や友人があの世から帰ってきて一緒にパーティーをする。なんて意味に変わったんだよ。

……もし本当に帰ってくるのなら姿を見せて欲しいよ。」

何処かの見聞を見るでも無く淡々と説明をする太宰。最後の言葉は名探偵意外誰にも聞こえないほどの呟く。こんなにすらすらとハロウィンについて話せるのは余程の物知りか余程の暇人だろう。無論太宰は何方にも該当する。

「……」

「そうなんですね!」

「何でそんな事覚えてるんだい?」

「少し調べ物をしていた時に偶然見つけたんですよ。」

「偶然見つけたぐらいで覚えられるのか….」

「私の頭脳があればお安い御用さ!国木田くん!」

国木田の率直な感想に決めポーズをとり乍ら太宰は自慢げに話す。

「鏡花ちゃんはハロウィンは知っていますの?」

「うん、お母さんとカボチャをくり抜いてランタンを作っただけだったけれど。」

「いいねェ。良かったじゃないか。」

「うん。」

嬉しそうにその日の思い出を話す鏡花にみんなの心が一致した。絶対にハロウィンパーティーをすると。そしてそれが楽しかったと思えるような思い出になるようにと。人間誰しも言葉が要らなくなる時があるものだ。

「皆さんはハロウィンの思い出はありますの?」

「俺は特に無いな。」

「あはは!国木田は生徒の持ってきたお菓子とか没収で忙しかっただろーな!」

「何と無く想像できるような….」

国木田の返事に対して乱歩は面白がって想像

推理

した事を話していた。それに対して少し納得してしまった谷崎は苦笑いを浮かべていた。

「そう言う谷崎こそ何かあるんじゃないか?学生らしいハロウィンの話が。」

「僕ですか。それ程面白い話では無いですが、学校帰りにコンビニに寄って友人とお菓子パーティーをしたぐらいですかね。あ、帰り道に男の子に会ってトリック・オア・トリート!と言われたので残っていた猪口齢糖をあげましたね。」

「ナオミ、その時すっごく寂しかったですわ!帰りが遅くなるとは伝えられても兄様不足で元気が出なかったですわ。帰ってきた途端に兄様にトリック・オア・トリート!と言って抱き着きましたわ。ほら、こんな風に….」

「えっ、ち、ちょっとナオミ!今、人前!アッ!」

「今日も仲が良いねえ。」

太宰は仲が良いと言うが果たしてこれは仲が良いで終わらせて良いのだろうか。と普通なら思うだろう。だが、そこは流石の武装探偵社。誰一人として気に留める人はいなかった。皆、仲の良い兄妹話だなと思ってハロウィンの思い出について聞いていた。

「あのトリック・オア・トリートって何ですか?」

「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ。って意味だよ。トリック・オア・トリートって言われたらあげれば良いし、言ったら貰えばいい。くれない奴には、悪戯だねェ。」

不適な笑みを浮かべながら話す与謝野に敦は少し恐怖を感じた。敦はその気を紛らわそうと与謝野に質問する。

「よ、与謝野さんはハロウィンの思い出はあるんですか?」

「そうだねェ。妾が店番をしていた駄菓子屋がハロウィンの時期になると途端に忙しくなったねェ。ハロウィン当日なんかみんな妾に駄菓子をくれたのは嬉しかったよ。」

「素敵ですわ!」

「与謝野さん、駄菓子屋で働いてたんですか!」

「言ってなかったかい?」

皆んな与謝野の新たな情報が知れて嬉しくも驚いてた。何ともほっこりする話であんな治療をする女医だとは思えないと思うものもいた。

「駄菓子といえば、乱歩さんも何かないのかい?ハロウィンの思い出。」

「うーん、社に行ったらさ社長にお菓子を貰ったよ。あれは僕でも驚いたな〜!だって僕の机に置いてあったんだもん!」

乱歩の不器用すぎるよと不満を言いつつも声色はとても楽しそうで皆やっぱり福沢が大好きだな。など思っていた。そんな中探偵社の扉ががちゃりと開き、福沢が入ってきた。外まで聞こえていたのか少し眉間に皺が寄っていた。

「それしか思い浮かばなかったのだ。」

「も〜!トリック・オア・トリートぐらい言わせて欲しかったな〜。」

「うふふ、社長らしくて良いでは無いですか。」

太宰の言う事が尤もだと言うように皆が福沢と乱歩を見つめていた。不満を言われた福沢も頬を膨らませ乍ら文句を明るい声で言う乱歩も周りからは親子のように映っていた。

「そう言う太宰こそハロウィンの思い出、何かあるだろ。」

「乱歩さん流石にそれは…この自殺マニアいつも通りに自殺していたなどとほざきますよ。」

「いいや、国木田、僕があるって言ったんだからハロウィンの思い出の一つや二つある筈だ。」

「そうですね。」

「えぇ…国木田くん単純すぎない…?」





思い出はいつも鮮明に

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文ストの聖地巡礼に行って楽しかったから見て欲しかっただけで別に表紙と内容は合ってない。 誰か聖地巡礼行ったことあったら思い出教えてください!

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