突然、社長はのっそりと立ち上がった。
これまで目立たなかった、店内に流れるミューズ社製の、電子系ポップBGMが目立ちはじめる。
畳を踏む音が聴こえる。
音が近づいてくる。
トイレに行くのか?
「ここ、いいかい」
上から、社長の声が聴こえた。
隣の下級生が、どうぞどうぞと言って、急いで席を立つ。
まさか?
まさにまさかだ。帝国主義の皇帝が、在野武士の棟梁の隣に座ったのだから。
皆が集まってくる。
「君のうわさは聞いてるよ」と社長は俺を見て語った。
雑誌で見るよりも、いくらかずんぐりしている。熊のぬいぐるみのような瞳だ。企業を吸収合併して覇権を広げる覇者とかいわれているから、もっとクソ威張り散らして権威を見せつける独裁者らしい、鷹の目をしてるイメージがあったのだが。うわさを聞いてか、他の部屋からも人が来る。店員が、戻ってくださいと押し返す。すごいことになったな。
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