テラーノベル
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次の日から、滉斗さんはそれまでみたいに話してくれなくなった。でも、嫌われてるんじゃない、そばにはいてくれるから。
「滉斗、もとき君となにかあったの?」
「……べつに」
いつも通り裏庭で日向ぼっこするときも、お出掛けさせてもらえた特別な日も、僕のとなりにいてくれるのに、お喋りしてくれない。
「……段差、気をつけろ」
でも、危ないところを教えてくれる。手を繋いで守ってくれる。どうしたんだろう。僕、何かしちゃったかな。ごめんなさい。悪いことしたら、謝らなきゃだから。
「……謝るな、元貴は」
え、謝らなくていいの?ていうか、謝るなってことは、謝っちゃダメなの?なんで、僕が悪いことしたから、滉斗さんは怒ってるんじゃないの?
「……滉斗、ちょっと後で僕の部屋来て」
「なんで……」
「いいから、ね?」
涼架さんも、怒ってる……のかな?
お散歩は気持ちがよかったけど、なんだか、変な感覚が残ったまま、僕は部屋に戻った。
滉斗さんは、涼架さんとなにを話してるのかな。怒られてたりしないかな。滉斗さんは悪くないのに、怒られてたらどうしよう。そういえば、あの日、扉が閉まった後、なにか声がした気がしなくもないけど……。
「もとき君、入るね。お話ししよ~」
ノックの音に気付かなかったけど、ゆっくりと扉が開いて、涼架さんが入ってきた。
「ねぇ、もとき君。最近、どんな夢見た?」
夢?最近……。あの日のあと、一度も夢を見てない。しっかり寝れてる訳じゃないのに、夢を見ることはないな。
「それって、どんなお話しだった?」
どんなって、真っ暗なところで誰かが話してて、僕のことを守るって言ってた。あとは……お兄ちゃんになるとか言ってたな。誰のお兄ちゃんなんだろう。
「……そっか。楽しそうなお話しをしてたんだね」
そう。あ、僕は可愛そうな子なんだってことを、思い出させてくれた。でも、僕に名前を教えてくれた人は、またいなくなっちゃった。
「……怖かった?その夢」
怖くなかったよ?ありがとうございますって言いたいくらい、良い夢だった。ちょっと不思議な夢だけど。
「そうだったんだ。気になるね……あ電話だ」
わざとらしくデンワとやらを耳に当てながら、ごめんね!とジェスチャーをする涼架さん。そそくさと、部屋を出ていった。急に来て、聞きたいことを聞いて、消えてった。こうゆうのを、嵐みたいな人って言うんだっけ。
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