マスターは語りを終えると、そっと悲しそうな笑顔を私に向けた。
「Fukaseはまだそのhukaに会いたいの?」
「うん。会いたいと思う。僕だって会いたいよ」
「そっか…」
マスターの話を聞いて、なんだか胸が苦しくなった自分が居た。
汚いこの世界の中で…理不尽なこの世界の中で。あの子は1人で生きていたんだ。
大切なものを目の前で失っても。
「Fukaseは…hukaに会いたいんだよね…それなら、」
「私。頑張るよ。」
私はマスターにそう言うと、部屋を出た。
リビングに行くと、そこにはソファに横たわったFukaseが居た。
赤く染った髪に傷付いた腕を持つ彼は静かで…今にも消えてしまいそうな…そんな顔をしていた。
ふわっとしたその赤い髪を優しく撫でると、彼は気のせいか、少し笑っているようにも見えた。
「huka…?」
「あ、ごめんね、起こしちゃって…」
私がそう言うとFukaseは少し戸惑ったような顔をしたあと、小さく大丈夫。とだけ呟いた。
Fukaseの知るhukaは凛としていて冷たい人なのだろう。
「あのね…Fukase」
「…な、なに?」
「私ね、貴方の知ってるhukaになれないかもしれない。でも頑張るからさ」
「これからよろしくね」
「うん…」
そう呟くFukaseの目には涙が溜まっていて、今にも溢れだしそうだった。
Fukaseはhukaに会えない。
代わりに私が来た。それがどんなに苦しくて辛いことか…ごめんね、私なんかで。
気持ちが溢れ出た私は気が付いたらFukaseの手をとっていた。
「ごめんね…ごめんねFukase」
Fukaseは少し目を見開いた後、ニコッと微笑んでくれた。
「君はhukaだよ、僕が大好きなhukaだよ。」
Fukaseはそう言うと私の手を優しく解き、またニコッと微笑んでいた。
Fukaseと出会ってまだ一日目。それなのに彼のことをちょっとだけ…いや、もっと知りたい自分が居た。
現在公開可能な情報
名 ┊︎ Fukase
年 ┊︎ 16
身 ┊︎ 175
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