僕はきっと 、
君のことを知りすぎてしまったみたい__
忍術学園に入学してはや五年が過ぎた
僕は 、その最も上の学年になった 。
かつてお世話になった先代委員長達は皆卒業し
今度は僕が図書委員会委員長になった 。
委員長になったから
六年生になったからといって 、
僕の悪い癖が治ることはなかったけど……
それでも 、僕はもう前とは違うんだ 。
なぜなら 、君がいるから____
『うーん……言うべきか 、言わぬべきか 。』
「まーだ悩んでるんすか!?不破先輩!」
『ごめんねきり丸 、でもこれでもしさぁ、、』
委員会のときは特段に悩むものだった
整理したい本のところに生徒や先生がいたら
声をかけるかかけないか 。
貸出期限が今日までの生徒や先生がいたら
声をかけるかかけないか 。
僕がうんと悩んでいれば 、決まってお前は来る
「不破せーんぱいっ」
『おわっ….喜八郎 、丁度いい所に..!』
「およ?」
「んー 、確かにそれで怒られたら」
「僕なら一生忘れない罠に落としてやります」
『だよねッ!?』
『そうなんだよ〜っ….悩むぅ….』
「むむぅ〜…..」
彼はいつも僕が決断を下すまで
ゆっくりと一緒に悩んで待ってくれる
少し斜め下を見てみれば 、
僕と同じポーズで腕を組みながら目をぎゅっと
瞑ってうーあーと唸っている姿が
とても愛おしく思う 。
『ふふ…..』
「??」
「なんですかぁ?不破先輩」
『いーや 、なんでもないよ』
甘い雰囲気に耐えられないきり丸が
逃げるように図書室から出ていく
そうなれば 、もう図書室は僕達だけのもの
「先輩 、もう悩んでないでしょう」
『バレた?』
「僕を誰だと思いですか」
『僕の可愛い恋人?』
「せーかいです」
なんて言いながら僕の肩に寄りかかる喜八郎
そう 、彼は僕の恋人なのである
勿論 、これは秘密の関係で
言わない理由は分かるでしょう?
喜八郎は滝夜叉丸がうるさいし
僕は三郎が黙ってないし 、
勘右衛門らが野次飛ばすだろうしね
だから僕は 、
この放課後の図書委員会の活動が
待ち遠しくて仕方がなかった 。
筆を置いて向き合えば 、
右手でそっと喜八郎の頬を撫でて
喜八郎の手が重なって温もりを感じる
そのまま後頭部までずらしていけば
後ろからそっと添えて 、反対の手で倒れぬよう
背中を支えてやればお互い見つめ合ったあと
今度は唇を重ね合わせる
初めは初々しくも
唇を合わせる程度だったかもしれない
今ではどうだろう
柄にも僕は独占欲が強いらしくて
喜八郎を貪るように舌で口の中を食べ尽くす
少し片目を開けてみれば 、
綺麗な長いまつ毛や頬が色付けられる姿が
どんな女性より綺麗なものか
それは 、僕だけが知っていること 。
「ふっ….はぁ 、不破先輩ってば 、」
「見かけによらずオスすぎます…..」
『男前だろう?』
「自分で言っちゃうあたりも素敵ですよー」
『もう!そんな事言ったらまたしちゃうよ!』
「きゃあ〜」
なんて 、ゴロゴロと畳に転がる喜八郎 。
僕が捕まえようとすれば 、するっと逃げる
そんな猫を少々手荒いけど 、
足で挟み身動きを取らせなくして無事捕まえた
『そんなに逃げられたら悲しいなぁ?』
なんて 、分かりやすくしょげた 。フリをした
それをひとつ下の後輩は見破ることができなくて
まんまと僕の哀情に引っかかり 、
僕をぎゅっと撫でたあと 、ちゅと可愛くした
喜八郎が離れようとした瞬間
頭の後ろを手で押せばんんっ 、て
可愛く抵抗を見せるかわいいかわいい恋人がいる
たくさん喜八郎を可愛がる
もうそれはひたすらと
そうしていつも僕達は彼らが迎えるまで
それは続く 。
「おぉい喜八郎ーーー!!!!!」
「勉強ごときに雷蔵を独り占めすんじゃねぇ!!
そもそもお前い組だろうがッ!!!!?」
「うえぇ、はちやせんぱーい、、」
「うぇってお前なぁ….!」
三郎がずいずいと喜八郎と距離を縮めた 。
あ 、それ ダメ_______
「……雷蔵??」
『….あっ!ごごめん三郎 、』
「いや…いいけど 、どうした?」
『ううん 、なんでもない 。』
「……そうか」
僕ってば何してるの!?!?
ただ 、喜八郎を叱ろうとした
三郎の首根っこ掴みだすなんて 。
嫉妬なんてみっともないよなぁ………
なんて悩んでいる僕をよそに
三郎は喜八郎を理不尽に叱るばかり
「もう不破先輩〜…助けてくださーい」
「あぁ!?だから近いんだよ喜八郎っ!!!」
『あはは 、まぁまぁいいじゃない三郎 。』
助けを求める喜八郎を軽く抱き返しては
背中をゆっくりと撫で下ろしてあげる
三郎が見てるのに 、喜八郎は甘えただね?
矢羽音を飛ばせば耳が赤いのなんて当たり前
そんな喜八郎の行動に不審に思う三郎の声を
かき消すかのように再びドドン!と
扉が開くのがわかる 。
「ここに居るんだろうアホはちろ…..は!?!」
「あ 、見つかった」
なんて喜八郎が言えば 、
そのものは喜八郎を引っ張り上げては
喜八郎の頭を無理矢理下げさせては
「うちの喜八郎がすみません」
と何度も何度も謝ってきた 。
『謝らないで 、滝夜叉丸』
そう 、喜八郎の同室の平滝夜叉丸こそが
僕が最も羨ましく思う人 。
「それでは私達は失礼しますッ」
「さようならぁ不破先輩」
「なッ私には言わないのかよ!」
「あぁ 、貴方もさようなら鉢屋せんぱい」
「またお前は先輩に何て無礼をッ!!!」
怒りながら帰る滝夜叉丸と頭の後ろに手を組んで
つまんなそうに話を遮ってはまた怒られる喜八郎
そんなふたりの僅かな身長差を眺めながら
僕達も長屋へと続く廊下を歩く
「…雷蔵 、私に何か言うことあるだろう」
『なに?三郎 、無いよ別に』
「あんなに独占欲丸出しだったのに?」
『ははっ 、本当に参ったなぁ』
「まぁ 、頑張れよ」
『うん 、ありがとうね』
少し寂しそうに笑う三郎に僕も少し寂しく思う
でも 、それを上回るほど
僕は彼にぞっこんで彼しか見れないんだから
そんな僕を 、また好いてくれる彼との今を 。
また次の人生でもそのまた次の人生でも
君とのすべてを僕は大切にしたい______
コメント
12件
お久しぶりい! あの、相変わらず小説書くの上手すぎませんか、、、私も久しぶりに書きたくて!!よければ教えてもらえませんか‼️‼️
あぁ最高です本当に!!あのリクエストなんですけど、最近とても尊綾にハマってて、四年生の女装実習で町の人に声をかけられだんごを奢らせると言う課題で喜八郎が女装して町にいると声かけて来たのが赤面した尊奈門で喜八郎はまじかぁ〜って思いつつも課題のために仕方なく団子屋に行って課題クリアになり学園に帰りその話を上級生のみんなに話したらみんな尊奈門をブッコロしに行くみたいなのみたいです!長くてすいません!!💦
ああああああああ神ってるうううううう