拓実はまだ泣いていた。
瑠姫の胸に顔を押しつけたまま、声にならない呼吸で震えてる。
拓「俺が悪い、、俺がるっくんを信用しなかった、、てかできなかった。ごめん本当に、、」
瑠姫はその背中を、ゆっくり、一定のリズムで撫で続けた。落ち着かせるようにじゃなくて、
“ここにいるよ” を伝えるみたいに。
瑠「拓実。」
その声は小さくて柔らかいけど、ちゃんと届く。拓実は顔を上げた。
涙で濡れたままの目。弱い目。
拓「俺、るっくんのこと信じられないとか言ったのに、、戻ってきていいなんて言われて」
声が震えて、掠れて、途切れて。
拓「……俺なんか……」
そう言おうとした瞬間——
瑠姫は拓実の唇に、そっと触れるみたいに口づけた。やさしい、ぜんぶを包むキスだった。
離れたあと、瑠姫は息を重ねるくらい近くで言った。
瑠「“俺なんか”とか言わないで」
拓実はまた泣きそうになる。瑠姫は泣かせたくないわけじゃない。
泣いてもいいんだ。
でも——自分を下げる言葉は許せない。
瑠「謝るのも、もういい。」
拓「でも俺、、、」
また口を開こうとする。瑠姫は、今度は少し深くキスした。逃げ場を与えないくらい。
唇が触れたまま、低く息で囁く。
瑠「もう謝らなくていいって言ってるの。俺はちゃんと拓実が好き」
瑠「拓実はちゃんと俺のこと好きなんだから。それで充分でしょ?」
拓実は息を飲んだ。顔がひどく赤く、でも泣いたあとだから余計に綺麗だった。
拓実「るっくん、、俺」
瑠姫は頬に手を添えて、指の腹で涙を拭った。
瑠「大丈夫。信じられないなら、今からまた信じさせる。何回でも。何度もだよ。」
拓実の喉が震える。
拓実「愛してる……ほんとに」
瑠姫はゆっくり微笑んだ。
瑠「俺も。」
そしてまた、唇を重ねる。今度のキスは長かった。ゆっくりで、暖かくて、
呼吸が混ざるくらい近くて。
手を繋いだまま、家の奥へ歩いていく。どちらが引いて、どちらが誘っているのか
もう分からないほど自然に。
二人の指は、離れなかった。
END
つづく
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ララちゃん小説書くの上手すぎ!!(・∀・)