祓い屋が来たところに僕たちは向かった。
そこには、黒い着物を着た祓い屋たち、およそ20人くらいが、一方的にあやかしたちを攻撃していた。
「やめろ!お前たちはなにをしているんだ!」
僕は声を荒げた。
するとその祓いたちはとても驚いた様子でこちらを見た。
「なぜ、この森のあやかしたちを攻撃する。」
一番年長者と思われるお婆さんが、前に出てきて答える。
「見たところ、かなり力のあるあやかしのようですが、この森のあやかしでしょうか?私たちはここで修行をしているのです。」
「僕はこの森の者ではない。この森から助けを求められてきたのだ。修行だと?」
「はい、この森とこの周りには強いあやかしがいなくて、後輩育成には丁度よかったのです。」
丁度よかっただと?悪いことをしていない静かに暮らしているあやかしを殺しておいて?修行だと?
「ふざけるな!お前たちただで帰れると思うなよ?」
僕の怒りが頂点に達した。
「逃げなさい!あなたたちが敵うあやかしではありません!慎二!和樹!あなたたちは私と一緒にこのあやかしの足止めをするよ!」
「あぁ!」「ヤバい奴が出てきたなぁ、これ死ぬんじゃね?」
前に出てきたお婆さんさんがそういうと、お婆さんを含めた三人を残して残りが逃げるために走り出した。
「追わないのかい」
「僕には追うのが正解なのかわからない。でも、君たちには、この森を、あやかしたちを傷つけた責任を取ってもらうよ。」
「嫌なこった。あやかしを殺してなにが悪いんだね。」
「救いようがないね。クロ、シロお前たちはあの二人を相手してくれ。僕はこのお婆さんの相手をする。」
ーあのお婆さんかなりの使い手ですよ?ー
かまわないさ。
「「御意」」
僕は手をお婆さんに向け、光線を放った。
「くっ!」
お婆さんは結界を張りこれを防いだ。
「なんて力だい。私の張った結界が一発耐えるのが限界とは。まったく、ここのあやかしもやばいのを連れてきたもんだ。」
そういうとお婆さんが、目隠しをされ、背中に無数の大きな釘を打ち込まれた大きな鬼の式神を放つ。
「いきな!あいつを殺すんだ。」
「うぎぃ、グアアア!」
とても悲痛な叫びをあげながらこちらに走ってくる。おそらく無理矢理従わせているのだろう。
「ほんとうにあなたは救いようがありませんね。すまない。せめて痛くないように一瞬で…」
僕はそういうと、破邪を抜き、力を込めて大きな斬撃を飛ばし、そのあやかしを一瞬で真っ二つにした。
「おいおい、なんだいその刀は…それにその威力はヤバすぎるじゃろ。」
お婆さんは次に札を取り出して新たな式神を出す。またさっきの鬼のように目隠しをされ、悲痛の叫びを上げている。
「まだまだおるから、がんばっておくれ。」
「あなたは殺さなくちゃいけないみたいだ。」
僕は人生で初めてこんなに怒っている。
何でこんなに酷いことができるのだろうか。
こいつはあやかしのことを何とも思っていないのだろうか。
「慎二くんだっけ?よろしくね?」
シロはほほえみながらそう言う。
慎二は無視し、札をシロに飛ばす。
「無視かー、残念だなぁ、死ぬ前にちょっとお話ししてあげようと思ったのに。」
シロはそういうと、飛んでくる札を狐火で燃やした。
次に慎二は式神を召喚する。目隠しをされ、背中に無数の大きな釘が刺さった黒く大きい熊のあやかしだ。
「かわいそうに。苦しそうだ。」
そういうとシロは刀を抜き、その熊のあやかしを斬りさいた。すると斬ったところから燃えて熊のあやかしは黒いモヤとなって消えた。
「なに!?」
「僕らの力を見誤ったね。君じゃ僕の相手は力不足だよ。でも、僕でよかったね。他の幹部の二人だったら君もっと酷い目にあってたよ?一人は生きたまま心臓抉り出して食べるし、もう一人は満足するまで切られるよ?」
そう言うと、シロは札を取り出して札を飛ばす。
「結界!なに!!」
慎二は結界を張ったが、結界を貫通し札が入ってきた。
「縛」
シロは慎二を札で縛りつけた。
ゆっくりと近づいていき
「まぁ、僕は燃やすけどね」
そう言って、指先から小さな狐火を慎二に飛ばした。
小さな火の粉は慎二について、どんどん大きくなり慎二を飲み込んだ。
「ぐああああーー!!」
「熱いねぇ、でも、術のせいで動けないよねぇ。君たちも一方的に殺したんだ。僕も一方的にやったっていいいよね?」
そう言ってシロは、慎二が燃え尽きるまで眺めていた。
さてと、クロも終わったかな?