テラーノベル
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「なーに?まじまじと見つめちゃって」
「いや…正直面食いました。あんなにモヤモヤしてたのに、こんなに簡単に心って晴れるもんなんだと思って。…遊宵先生に相談できて良かったな」
「あは。褒められちゃった☆」
「もしかして他の生徒の相談にも乗ってたりするんですか?」
「まぁね。成瀬ちゃんも何かあれば物理準備室に遊びにおいでね」
「物理準備室…」
「あ。…もしかして、僕の噂知ってるのかな?」
「えっと…」
「間に受けないでよ〜女の子好きなのは本当だけど。物理準備室でお喋りしてるだけだってば。生徒に手出したこと無いし。たぶん」
「……」
「わ〜怖い顔。めちゃくちゃ凝ってるでしょ?ホントなんだってば。一応、公認心理士資格持ってるんだよ?」
「…意外ですね」
「でしょ?元々はスクールカウンセラー志望だったんだから」
「でも、学校には女性のスクールカウンセラーさんが常駐していらっしゃいますよね。わざわざ面倒事になりそうな女生徒との交流をしなくてもいいのでは?」
「うーん。そうなんですけどね。やっぱ君らは思春期だし心も体も大人になっていく最中なわけだからさ、当然不安や悩みを抱えやすいのね。特に、恋愛だとか性的なことだとかで傷付いてしまいやすい。だからさ、先生である僕との交流が異性と健全な関係を築く練習になればいいなと思ったんだ。スクールカウンセラーさんのように四六時中相談に乗ることはできないけど、僕からできる役割なのかなって思ったわけですよ。…独り善がりな理由かもしれないけど」
掴みどころの無いその笑顔の奥で確かな本音が垣間見えた気がした。
「格好いいです。自分だけの特別を大切にしてるのが唯々格好いいです。ちゃんと人生の先輩って感じですよ?」
「…あは。素直過ぎでしょ」
そう言いつつ、遊宵先生は面映そうに視線を逸らして口元を仄かに緩めた。