テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
これも前回と引き続き若干ネタっぽいです!実弥に未遂で無理やりヤられそうになっているシーンがありますがあまりエロく無いかも。
2話まであります!
俺は実弥の部屋にいた。
実弥は非番の日に急な呼び出しをくらい、舌打ちをしながら出かけていった。「すぐ戻るから待っとけ」と言い残して。
一人残された俺は、暇を持てあまして掃除をすることにした。実弥の部屋は普段から片付いているが、本棚の奥や隅の方には埃が溜まっていることがある。
俺たちは同棲している。だから、感謝の意も込めて、彼がいない間に少しばかり綺麗にしておこうと思った。
棚の上の埃を払う。ここまでは順調だった。問題は、あの背の高い本棚だ。
一番下の段。普段あまり開けない、扉付きの収納スペース。
そこには古い雑誌や、実弥が昔読んでいた漫画などが雑多に詰め込まれているはずだった。整理整頓が得意な実弥にしては珍しく、そこだけは酷く乱雑だったのを覚えている。
「……ここも、一度全て出して拭いた方がいいな」
その扉を開けると、 奥の方にボール箱があるのが見えた。
何気なくその箱を引きずり出した時、中から雪崩のように数枚のディスクケースが滑り落ちてきた。
「ん……?」
パッケージの背表紙に見える極彩色の文字と、扇情的な文言。
俺は動きを止めた。
見てはいけないものを見てしまったかもしれない。
散らばった数枚のパッケージには、 あられもない姿で涙を流している女性たちが映っていた。
まあ、ただのAVなら、男の部屋にあっても不思議ではない。
俺も男だ。もちろん俺もそういうものを見ることもある。(どうにか男を保つために)
実弥が隠し持っていたとしても、それは健全な男の嗜みとしてスルーするつもりだった。
だが、問題はそのジャンルだった。
拾い上げたパッケージを並べてみる。
『抵抗する黒髪美女を無理矢理〜〜』
『嫌がる優等生を力尽くで〜〜 』
『泣き叫ぶ令嬢を〜〜』
……すべて、いわゆるレイプものと呼ばれるジャンルだった。
そしてもう一つ。
被害者役の女優全員、黒髪で切れ長の目をしたクールビューティー系の顔立ちをしていること。
もっと言えば、どことなく俺に似ている。
「…………」
俺の手が止まる 。
脳裏に蘇るのは、数ヶ月前の出来事だ。
あれは些細な喧嘩がきっかけだった。本当にくだらない、日常茶番レベルの口論だったはずだ。
だが、あの日の実弥は虫の居所が悪かった。そして俺も、売られた喧嘩を買うように普段なら言わないような煽り文句を口にしてしまった。
『あァ?テメェ、今の言葉取り消しやがれ』
『事実だろう。短気は損気だと言っている』
そんなやり取りの直後 実弥の目の色が変わった。
いつもなら「あークソッ」と頭をかいて終わるはずが、その時は違った。俺の胸倉を掴み、そのまま床に押し倒したのだ。
ドン、という衝撃と共に、背中に痛みが走る。見上げると、そこには血走った目をした実弥がいた。
『っ、な、なんだ。離せ実弥』
俺は抵抗しようとした。だが、実弥の力は常軌を逸していた。
普段のベッドの上でのじゃれ合いで感じる力とは違う。本気で、俺を制圧しようとしている。
両手首を片手でねじ伏せられ、頭上で固定される。骨が軋むほどの握力に、俺は恐怖を感じた。
『離せと言っている!痛いっ……!』
俺が声を荒らげても、実弥は止まらなかった。むしろ俺の抵抗を楽しむかのように行為はエスカレートした。
乱暴に服を引き裂くように脱がされ、剥き出しになった肌に熱い手が這う。
愛撫なんて生易しいものではなく、ただの暴力に近い、所有を主張するだけの行為。
『ひッ、やめろ、やめてくれ!実弥、嫌だ!』
『本当に、無理だ!一回止まれ!』
『うっ、うえッ、ひぐ』
恐怖で涙が滲んだ。本気で嫌がって、首を振って拒絶した。
だが、俺が「嫌だ」と叫び、涙を流した瞬間、実弥のモノがズボン越しでも分かるほど一気に硬く、大きく膨張したのを感じた。
俺の拒絶や恐怖に歪む顔が、彼の興奮のスイッチを押したかのように。
さらに激しく太腿を割り開かれ、下着を引きずり下ろされた。
『……ッ、い、やぁ……ッ!』
本当に犯される。無理矢理。合意のない暴力的な行為で貫かれる。
そう覚悟して目を堅く閉じた、その時だった。
『__は、!?』
実弥の動きが止まった。
挿入の直前の、先端が触れるか触れないかのギリギリのところで、彼は素早く俺から身を離した。
荒い息を吐きながら、彼は自分の手を見て、そして震える俺を見て、顔面蒼白になっていた。
『……わ、悪ィ……俺、何して……』
彼はそのままトイレに駆け込み、数時間は出てこなかった。
その後、土下座までされて謝られた。まあ未遂だったし、と無理やり自分を納得させて許したのだ。
あの時の実弥は、何かに取り憑かれたようだったから。魔が差したのだろうと。
……だが。
俺は手の中にあるDVDパッケージをもう一度見た。
黒髪。クール系。無理矢理。
そして「泣いても泣いてもやめてもらえない〜〜」などという煽り文句。
魔が差したのではない。
あれは、彼のAVの性癖が、現実の俺とリンクして暴走した結果だったのだ。
俺が恐怖で泣いた時、彼がさらに興奮したようなあの感覚は、勘違いではなかった。
このAVのラインナップが全てを物語っている。
彼は、俺のような顔をした人間が、無理やり組み敷かれ、泣きながら犯されるのを見て、興奮している。
そしてあの日、俺がそのシチュエーションに陥った時、彼は理性を飛ばしていた。
「…………」
静かな怒りがふつふつと湧き上がってきた。
いや怒りというよりは、呆れと、そして妙な納得感、さらに言えば「こいつ、やってくれたな」という制裁の感情。
俺の顔を見て、こんな事ばかり考えていたのか。
普段「ぎゆー、義勇」と優しく抱きしめてくるあの裏で、俺が泣き叫ぶ姿を妄想し抜いていたというのか?
俺はDVDを元に戻す……ことはしなかった。
綺麗に並べ、テーブルの上に広げた。
さらに棚の奥を徹底的に捜索した。出るわ出るわ、似たようなタイトルの作品が。
全て黒髪で全て無理矢理。中には『普段は生意気なあの娘をわからせ……』なんてものもある。これも俺に当てはめているのだろうか。
全部で十数本。
壮観な眺めだ。
俺は腕組みをして、その証拠品の前に座り込む。
掃除は中断だ。
今日はとことん、問い詰めてやろう。
続く