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続き↓思いつかないからもう、オフの日で!
「約束と未来」
――再会 / オフの日・街中
オフの日。
珍しく、数人で街に出ていた。
「人多……帰りたい」
凪が早々にやる気をなくす。
「来たの誰だよ」
烏が呆れる。
「玲王に連れてこられた」
「巻き添えやん」
千切が笑う。
「まあまあ、せっかくのオフだし」
玲王が軽く手を振る。
その横で、
「……」
乙夜は少しだけ遅れて歩いていた。
「おい乙夜、なんか静かじゃね?」
國神が声をかける。
「珍しいな」
雪宮もちらっと見る。
「いや別に?」
乙夜は軽く笑う。
「考え事」
「また潔か?」
烏が即ツッコミ。
「うるせぇ」
否定しない。
それだけで、何人かが笑う。
「ほんと好きだな」
蜂楽がにこにこする。
「会えたらいいのにね〜」
その一言。
ほんの軽い冗談。
でも——
乙夜の足が、ほんの一瞬だけ止まる。
「……まあな」
小さく返す。
それ以上は言わない。
人混みの中。
ざわざわした音。
車の音、話し声、笑い声。
全部が混ざる。
その中で。
ふと、
視界の端に引っかかった。
見覚えのある動き。
見覚えのある立ち方。
ボールはないのに、
“サッカーしてるやつの重心”。
乙夜の思考が止まる。
「……おい」
ぽつりと呟く。
誰にも聞こえないくらい小さく。
その視線の先。
少し離れた横断歩道の向こう側。
「え?」
蜂楽が気づく。
「どうしたの?」
乙夜は答えない。
ただ、見てる。
信号が変わる。
人が動き出す。
その中で——
そいつも、歩き出した。
顔が、はっきり見える。
「……マジかよ」
乙夜の口から、勝手に漏れる。
「え、誰?」
千切が視線を追う。
その瞬間。
向こうの男も、こちらを見た。
目が合う。
時間が、止まる。
本当に、止まったみたいに。
「……」
言葉が出ない。
どっちも。
数秒。
いや、体感はもっと長い。
「……あ」
先に声を出したのは、向こうだった。
小さく。
でも確かに。
その声で、現実に戻る。
「行くなよ」
誰かが言った気がした。
誰だったかは分からない。
でも——
乙夜はもう、歩き出してた。
人をかき分ける。
ぶつかりそうになっても気にしない。
珍しく、周りが見えてない。
「おい乙夜!?」
玲王が驚く。
でも止まらない。
横断歩道を渡る。
信号なんて見てない。
そして、
目の前まで来て——
やっと止まる。
「……久しぶり」
先に言ったのは、潔だった。
少しだけ息を整えながら。
乙夜は、何も言わない。
ただ、じっと見てる。
「……変わってねぇな」
やっと出た言葉。
「そっちこそ」
潔が笑う。
後ろから、足音。
乙夜のチームメイトたちが追いつく。
「え、誰?」
「この人が例の?」
ざわつく。
乙夜は振り向かない。
「……お前さ」
一歩、近づく。
「偶然にしては出来すぎだろ」
潔は少し考えてから、言う。
「じゃあ、運命ってことで」
その一言。
軽いのに、やけに重い。
「ははっ」
乙夜が笑う。
今度は、はっきりと。
「いいじゃん」
後ろから視線が刺さる。
めちゃくちゃ気まずい空気。
「え、紹介しろよ」
烏が小声で言う。
「例の“潔”だろ?」
乙夜は、やっと振り返る。
「こいつが」
軽く親指で示す。
「潔世一」
全員の視線が、一斉に集まる。
潔は少し驚いた顔をしてから、
軽く頭を下げる。
「どうも」
数秒の沈黙。
「……普通だな」
馬狼。
「いや逆にそれがいいんじゃない?」
蜂楽。
「お前がそこまで言う理由は分かるかも」
國神。
口々に好き勝手言う。
「ちょっと待て」
潔が苦笑する。
「何この状況」
「有名人だからな、お前」
乙夜がニヤッと笑う。
「そっちでしょ」
潔が即ツッコミ。
そのやり取りに、
周りが少し笑う。
でも——
その中心にいる二人だけは、
少しだけ違う空気をまとっていた。
「で?」
潔が小さく聞く。
周りに聞こえないくらいの声で。
「迎えに来たの?」
乙夜は、一瞬だけ目を細めて——
笑う。
「途中」
短く答える。
「完成したら、ちゃんと行く」
潔は、それを聞いて——
静かに頷いた。
「じゃあ、待ってる」
その言葉に、
乙夜は何も返さない。
ただ、
ほんの少しだけ——
嬉しそうに笑った。
オフの日の、ただの偶然。
でもそれは、
確実に“未来に続いてる再会”だった。