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野々さくら
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#ラブコメ
猫塚ルイ

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「リプ欄に『同性同士のお客様でも大歓迎です』って公式がリプライしてたよ!ほら、今は多様性の時代だし……!」
我ながら必死だなと思いながらも、画面を指差してアピールする。
圭ちゃんは「なるほど?」と小さく呟き、画面の文字をじっと見つめていた。
だが、ふと我に返って冷静になると
申し訳ない気持ちがじわじわと湧き上がってくる。
「でも……よく考えたら、圭ちゃんはきっと退屈だよね。甘いもの大嫌いなのに付き合わせるの、悪いし…やっぱ別のところにしよっか?」
引っ込めようとしたスマートフォンの画面を、圭ちゃんの長い指先が遮った。
「いや、いいんじゃね。行きたいんだろ?そこ」
「え、いいの?!」
「その代わり」
圭ちゃんは、俺の目をまっすぐに見つめ返し、不敵に口角を上げた。
「そのスイーツ食い終わったら、次は俺の行きたいとこ付き合えよ」
「……!全然、どこでも付き合うよ!」
「じゃ、放課後、校門の前で待ち合わせな」
「うん!」
そう約束を交わして教室に戻った後
俺の頭の中は完全に放課後のことでいっぱいになっていた。
午後の授業中、黒板に並ぶ数式も、先生の退屈な朗読も、何一つ頭に入ってこない。
ノートの端に小さく『ベリーズ』とカフェの名前を書いては、すぐに消しゴムで消した。
(あー…早く放課後にならないかな……)
頬杖をつきながら、窓の外の青空を眺める。
胸の奥がウキウキと弾んで、1分1秒が途方もなく長く感じられた。
◆◇◆◇
それから、待ち焦がれた放課後はあっという間にやってきた。
圭ちゃんが今日の掃除当番の割り当てだったこともあり
俺は先に教室を出て、約束通り校門の前で待つことにした。
校門のレンガの柱に背を預け、スマートフォンを片手に圭ちゃんの姿を探していると
背後から不意に馴染みのある明るい声が降ってきた。
「あれ? 鈴木も今帰り?」
振り返ると、同じクラスの男子
吾妻陸人が片手を軽く挙げてこちらに近づいてくるところだった。
「わ、えっ、吾妻くん?」
吾妻陸人───
すっきりと切り揃えられた短髪に、爽やかな笑顔。
運動神経抜群で、うちの学校のバスケ部を引っ張るエースだ。
その明るく社交的な性格から、クラスでは男女問わず常に中心にいる人気者。
俺自身は普段あまり深く話す機会はないけれど
噂では圭ちゃんと「仲が良い」とも「犬猿の仲」だとも言われている
少し不思議な距離感の相手だった。
「誰か待ってんの?」
「あっ、うん…!圭ちゃんのこと、待ってて」
答えながら、俺は内心で少しだけ身構えた。