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野々さくら
990
#ラブコメ
猫塚ルイ

752
(圭ちゃんとの『デート』のことは、さすがにクラスメイトには言えないし…詳しく言わずに、上手く誤魔化さないと)
「ふーん?」
吾妻くんは不思議そうに首を傾げ、俺の顔を覗き込んできた。
「鈴木と圭って、幼馴染なんだっけ?」
「うん、小学生の頃からずっと一緒で……」
「そっか。なんかさ、圭ってあんまり特定の誰かとべったり一緒にいるイメージないから、珍しいなぁと思ってさ」
(まあ、確かに……圭ちゃん、学校だといつも一匹狼って感じだしなぁ…)
「これからどっか行くの?ゲーセンとか?」
「あっ、ううん。今日は、このお店に行こうと思ってて」
「店?」
「これなんだけど……」
俺は昼休みに圭ちゃんに見せた時と同じように
スマートフォンを差し出してカフェのポストを画面に表示させた。
すると、吾妻くんは「どれどれ?」と言いながら、ぐっと画面に顔を近づけてきた。
しかし次の瞬間
目をキラキラと輝かせ、俺の手からスマートフォンを奪い取るくらいの勢いで覗き込んでくる。
「うわっ、超うまそうじゃん!」
声を弾ませる吾妻くんの顔が、信じられないくらい間近にある。
(ち、近っ…!?)
驚きのあまり、俺は反射的に身体を後ろに仰け反らせてしまった。
心臓が変な跳ね方をする。
「でも、圭がよく行くなんてOKしたね?アイツ、甘い物とか絶対嫌いじゃん」
「あはは…後で圭ちゃんの行きたいところに付き合うっていう条件付きで、今日だけは行ってくれることになったんだ」
「へぇ……」
吾妻くんはニヤリと不敵に笑うと、俺の顔をじっと見つめた。
「ねね、それなら俺も一緒に行っていい?めっちゃ美味そうだし」
「えっ?あ、吾妻くんも……っ?!」
まさかそんな提案をされるとは思ってもみず、俺の顔の筋肉が一瞬で凍りついた。
まずい。吾妻くんまでついてきたら
そもそも2人限定の『カップル割引』が使えなくなってしまう。
(何より…せっかくの圭ちゃんとのデートじゃなくなっちゃう……!)
絶対にそれだけは阻止しなければならない。
頭の中で必死に断る文句を探す。
「いいっしょ?お願い!」
「あ、いや……その、今日は、二人で行くって最初から決めてるっていうか、その──」
吾妻くんのぐいぐい来る距離感に圧され、言葉に詰まりかけた
そのとき
後ろから、俺の肩をガシッと強い力で掴まれた。
「お前ら、何してんの?」
低く、地を這うような冷たい声が響いた。
肩がびくりと跳ねる。
振り返ると、いつの間に背後に立っていたのか、圭ちゃんがそこにいた。
カバンを片手に引っ提げ
前髪の隙間から覗く鋭い視線が、真っ直ぐに吾妻くんを射抜いている。
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