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あちゃー(ノᗝ˂。)アチャー響またお預け〜!ざんねーん!!!😂 でも、琴音ちゃん響の心の想いもわかったし、前よりは自信を持てるね😉ささ、卒論1回で終わらせよー💪じゃないと本番大爆破しちゃうよん🌋🚀
何かに包まれている感覚と、朝の光で目が覚めた。
ぼんやり目を開けて、瞳に映るものが何か考える。
スッと高い鼻と、立体的な唇…
あ…響だ。
包まれているのも、響の腕だとわかる。
眼光鋭い瞳はまだ…閉じられている。
昨日書斎で響にくっつくのを許されて、そのまま眠ってしまった私をベッドまでに運んでくれて…一緒に寝たんだ
なんというか、子供みたいで恥ずかしい…
しかし…顔が近い…!
そっと離れようとして、腰より下に大きな手があることに気づく。
…やだ!響、お尻触りながら寝た?
やだやだ…!恥ずかしい!
1人身悶えていれば、美しい男が目を開けたことに気づく。
「響、お尻触ったでしょ?」
「はあ?寝起きにいきなりなんだ?」
「だって…!手が!」
「うるせぇ…もっときわどいとこにも触ったことあるだろ?」
そう言われて、旅行の時のことがよみがえる。
「へ…変なこと言うなぁ…!」
思いっきり胸を押して、何とかベッドの上に座った。
そこで、昨日言えなかった事を伝えることにした。
「昨日ね、玲に会ったんだ。そう言えば」
「…玲?」
一瞬であたりを氷点下の温度に下げる怖い目つき…
「どこで?とうして玲がお前と会うんだよ?」
「し…知らないよ…大学出たとこで声をかけられて、それで近くのカフェに行って…」
「…カフェに行っただぁ…?」
なに…?これは、嫉妬なの?ヤキモチ?
それとも、仕事関係で、私が玲と話しちゃまずかったの…?
「俺とカフェでくつろいだことなんてないだろ…?!」
…ヤキモチらしい。
それにしても、昨日はとっても甘かった気がするのに、今日はまた…甘さのかけらもない俺様響に戻ってる。
「そこで、FUWARIが危ないって聞いたよ。それで、玲は見限ろうかなって言ってた。そのために緑川コーヒーの令嬢と親しくしてるって」
上半身を起こした響を、見上げるように見つめて続けた。
「もしかしたら、それで私の内定を取り消したの?入社してすぐ、倒産の危機があるからって?」
「まぁ…それだけじゃねぇよ」
玲に聞いていたことで、響もやっと口を割る気になったらしい。
「旅行の帰り、緑川コーヒーの娘と一緒にいたのは、俺にとっては想定内だった。もしかしたら、玲がFUWARIを継がないってこともな」
「…え、なんで?何か知ってたの?」
実は響、このFUWARIに関する嫌な情報を握っていた。
それは玲の父である、現取締役社長の不祥事と、もうひとつ…
FUWARIはカフェ運営だけでなく、乳児の安全な離乳食やおやつの製造販売という事業を拡大していて、それは「FUWARIベビー」という一大事業なのはさすが知っている。
「だが、うまくいっているかに見えたこの事業、実は内情はボロボロで、食の安全が懸念されている」
「ええ?そんなの、知らなかった…!」
「今はまだ表沙汰にはなっていないから、普通の大学生はまず知らないのが当たり前。前にもそう言ったろ?」
た…確かに。
そして響は、声をひそめて、耳元でこっそり言った。
「現社長の不祥事ってのは、大物政治家の妻との不倫」
「…ええっ?!」
これが世間に知られれば、クリーンなイメージのFUWARIは大打撃を受ける、と響は言う。
そんな中、玲がライバル企業の娘と親しくしていれば、もしかしたら父親を、そしてFUWARIを見限ったか…と思われるのは仕方がないかもしれない。
「そうなれば、後継者をなくしたFUWARIの先行きは確実に危ないし、スキャンダルが知られれば、社員も大きく影響を受ける。
喋ってくれそうな社員に、マスコミは張り付くだろう」
響はそれを心配して、玲とコンタクトを取り、真意を確かめたらしい。
旅行後、急に帰りが遅くなったのは普段の仕事に含め、FUWARIと玲の動向を探っていたから。
「あいつは子供の頃から小賢しいとこのあるガキだった。そういう奴は今後、FUWARIに何かあったら見限る選択をするかもな…って思ってた」
「玲は響の後輩だもんね。会うこともあったんだね」
「あいつが中1の時、高等部にいる俺に会いに来た。武者小路グループの息子って聞いたみたいで、興味がわいたのかなんなのか」
少し遠い目をしながら、響は話を続けた。
「今回、現社長のスキャンダルを抱えて…後継者として今後どうするつもりか、玲に聞いてみた。そしたら案の定…見限るって言い切った」
「でも…そんなにすぐに見限れるもの?
立て直すとか、考えないの?いっぱい社員がいるのに」
「…俺なら、例え大学生だったとしても、立て直す努力を一緒にさせてもらいたいって、経営陣に願い出ると思う」
でも…玲はそういうタイプじゃなかった。
…響は少しだけ、寂しそうな顔をした。
「しかも緑川コーヒーってライバル関係の企業に媚売って、その上お前のことも…」
突然私に目を向けられて焦る。
「あいつ、琴音が入社したら、絶対モノにするって言ったんだよ」
「…あ、それ…私も言われた」
「…はっ?!ふざけんな…。俺がどれほど大切にしてる女か、わかってないんだよ、あいつは…!」
そう言って急に手が伸びてきて、怒った口調と裏腹に、私を優しく抱きしめながら言う。
「マスコミに追われるかもしれない、入社しても倒産するかもしれない、その上クソガキにイタズラされるって予告されてて、お前をFUWARIに入社させることはどうしてもできなかった…!」
「…内定取り消しなんてすれば、私との間にヒビが入るって、玲は期待してたみたいだよ」
抱きしめる腕をゆるめて、響が私を見た。
ヒビが入ったのか…?って聞かれているみたいな視線。
「…ちょっとはモメたし、私も怒ったけど、ヒビは入ってないよね…?」
「…まったく入ってない」
言い切る響…。
否定はしないよ。
あの時、今すぐすべては言えないって言ってたのは、まだ表沙汰になっていないし不確かな情報だったから…。
響は、玲からだけじゃなく、マスコミや倒産の不安とか…先を見越していろんなものから私を守ってくれたのがわかる。
「ありがと…」
私はそう言って、響の首に腕を巻きつけた。
すぐに近づいてくる響の唇…
舌を滑り込ませるのは、今日も私から。
気付けば、響は私に、されるがままにキスをされてる。
いつの間にか覚えた、響の甘いキス。
舌と舌が絡み合って…2人で吐息をもらすほど…。
…なんだけど。
「琴音…?」
チュッとリップ音をさせて、キスを終えると…響の目が妖しく光ってるのがわかる。
「…もう、このまま…俺…」
「ごめん…響…」
なんだかすごく可愛そうになって、頭をギュッと胸に抱く…。
「…卒論のことで先生に呼ばれてるの…大学行かなきゃ…!」
胸に顔をグリグリさせていた響の動きがピタっと止まる。
「…このクソガキ…!卒論くらい文句言わせねぇものを1回で書けやっ?!」
一瞬で甘い雰囲気が吹き飛ぶ私たち…。
私たちが大人の甘い関係になるには…まだもう少しかかりそう…。