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「もも〜?起きないと遅刻するよ〜?」
母親の声で起きるのは久々だ。
ということは、遅刻寸前…?
半分諦めて支度を始めた。
そんな状況なのにずっと彼のことを考えてしまう自分はバカなのか。
この関係って付き合ってるの?付き合ってないの?
今日はちゃんと確かめるために学校に行かないとと思った。
学校に着くと、松井くんの鞄はなかった。
遅刻かな…
この関係をどうにかはっきりさせないと、私はいつまで経っても眠りにつけなくなるよ。
そんなあたふたしたような先走った気持ちだった。
「おはよう」
移動教室でみんないなかった教室に、誰かが入ってきた。
ま、松井くん?
まさか同じ時間に遅刻してくるとは思わなかった。
でもこのまま授業に行くと…
絶対怪しまれるよね。
どうしよう…
出席しないとダメなのに。
私は教室から出られずにいた。
「行かなくていいかなって思ってるんだけどさ」
松井くんに近づいた瞬間、腕を引っ張られて彼の膝の上に座ってしまった。
「ええっ」
後ろから抱き抱えられて座った。
その間、無言の時間が5分は続いたかな。
いい匂いだな…とか、昨日のことどうやって聞こうかな…とか、頭の中がぐるぐる回って仕方なかった。
聞こうと決めたその時、
「ねぇねぇ」
声をかけられて振り向くと、静かにキスをされた。
ファーストキスだった。
それからは完全に流れを持ってかれて、したこともないぐらい長いキスをしたりされてもう恥ずかしい。
誰か入ってきて見られたらどうしようという気持ちが込み上がった。
そんな気持ちと裏腹に、もっと彼の近くにいたい、もっとキスして欲しい、そんな感情も出てきて自分を制御できなくなっていた。
チャイムと同時に、キスは終わった。
何事もなかったかのように退かされ、相手はトイレに向かった。
もう…結局聞けなかったじゃん。
でもキスをするってことは、そういうことなんだよねきっと…
勝手に自分の中で自己完結しては、舞い上がっていた。
どうしようもないぐらい好きになってしまったのかもしれない。
この気持ちに後戻りはできなかった。