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雫
32
🎀もちたん🎀
5,424
アリーナツアーの成功から数ヶ月後。
M!LKの勢いはさらに加速し、新しいシングルのリリースに合わせた怒涛のメディア露出が続いていた。
今回の表題曲は、勇斗と仁人のダブルセンターによる、激しくも妖艶なダンスナンバーだ。
二人の息の合ったシンクロニシティは、MVの公開直後から「過去最高のクオリティ」と世間で大きな話題を呼んでいた。
しかし、注目度が跳ね上がったからこそ、予期せぬ歪みが生まれ始めていた。
「――はい、本日の生配信番組、終了です! メンバーの皆さん、お疲れ様でした!」
スタジオのスタッフから声がかかり、カメラの赤いランプがパッと消えた。
5人は「ありがとうございました!」と頭を下げ、スタジオの端にある簡易的な楽屋へと戻っていく。
💙「あー、今日のクイズ企画マジで焦ったわ! 勇斗の天然が炸裂しすぎ!」
太智が笑いながらソファに座り込む。
🩷「だって本当に分からんかったもん!」
勇斗が悔しそうに言い返し、楽屋はいつも通りの賑やかな空気に包まれた。
しかし、スマホをチェックしていた柔太朗の指先が、不意にピタリと止まった。
🤍「……ねえ、ちょっとこれ見て」
柔太朗の少し硬い声に、勇斗と仁人が顔を上げる。
🩷「どうした、柔太朗?」
勇斗が覗き込むと、柔太朗のスマホ画面には、先ほど終了したばかりの生配信の「切り抜き画像」と、SNSのタイムラインが高速で流れていた。
そこには、トークの最中に勇斗が仁人の耳元で内緒話をした瞬間の、超高画質なスクリーンショットが何枚も投稿されていた。
問題は、その時に衣装の襟元がわずかに引っ張られ、仁人の真っ白なうなじが露わになっていたことだった。
画面を拡大すると、そこにははっきりと、勇斗が刻み込んだ一生消えない『番(つがい)の痕(ネックバイト)』の、生々しい歯痕の形が映り込んでいた。
『待って、今の配信の仁人くんの首筋……これ、虫刺されとかのレベルじゃないよね?』
『完全に人間の歯型じゃん……。しかもこの形って、まさか……』
『最近の勇斗と仁人くんの距離感の近さ、パフォーマンスの異常なシンクロ率。これ、オメガバースの世界線だったら完全に……』
ファンの間での憶測は、瞬く間に拡散され始めていた。
中には冗談半分で呟いているファンも多かったが、核心に触れそうになっている鋭いオメガバースの考察班も現れ始めていた。
💛「……っ」
仁人の顔から、一気に血の気が引いていく。
メンバーには受け入れられた。
しかし、世間は違う。
もし自分がオメガであること、そしてメンバーである勇斗と番になっていることが公式に発覚すれば、M!LKというグループが背負うリスクは計り知れない。
🩷「くそっ、俺の不注意だ……」
勇斗が奥歯を強く噛み締めた。
配信中、仁人の体調を気遣うあまり、至近距離に近づきすぎてファンの視線を誘導してしまったのだ。
🤍「焦るな、二人とも」
柔太朗が二人を落ち着かせるように、低い声で言った。
🤍「まだファンがSNSで騒いでる段階だ。公式にニュースになったわけじゃない。……太智、舜太、ちょっと手伝って」
💙「おう、何すればいい?」
太智と舜太もすぐに事態を察知し、真剣な表情で柔太朗の前に集まった。
🤍「次の公式ブログとインスタ、太智と舜太の二人で、僕の首を後ろから甘噛みするような『ネタ写真』をアップして。コメントには『最近M!LK内で首を噛む悪戯が流行ってます(笑)』って書くんだ。ファンの憶測を、ただのメンバー間のふざけ合いにすり替える」
💙「なるほどな! 任せとけ、そういうの得意だし!」
太智がすぐにスマホを取り出す。
❤️「俺もめっちゃ全力で太智の首噛むフリする!」
舜太も力強く頷いた。
メンバーたちの瞬時のチームワークにより、数分後には公式SNSに楽しげな「首噛み悪戯写真」が投稿された。
それを見たファンたちは、
「なんだ、ただのM!LKお得意のノリか!」
「びっくりしたー!」
と、一気に安堵のムードへと流されていき、噂の火種はギリギリのところで鎮火されていった。
💛「……みんな、本当にごめん。また、助けてもらっちゃった」
仁人が申し訳なさそうに頭を下げると、太智が笑ってその背中を叩いた。
💙「何言ってんだよリーダー。これくらい、無敵の5人のM!LKにとっては朝飯前だって」
🤍「そうだよ。それに、バレそうになるくらい二人がお互いを想い合ってるってことでしょ」
柔太朗が優しく微笑む。窮地を救ってくれた最高の仲間たち。
しかし、勇斗は仁人の手を強く握りしめながら、改めて心に誓っていた。
これからはもっと強く、もっと完璧に、自分の愛するオメガを、そしてこの大切なグループを守り抜いてみせると。
第二話が第一話と同じ内容になっているとのご指摘をいただいたので修正しました
是非読んでください
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コメント
1件
続き楽しみです!