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「凪、ちょっといいかしら?」
朝の5時に呼び出された。
「おはよ〜……何?」
とぼとぼと螺旋階段をのぼると、ニャカミがほほえんだ。
「朝早くにごめんね〜。あのね、これ。」
そう言ってニャカミが見せたのは、綺麗な文字で「星空凪」「神岡猫美」と書かれた紙。
「ナグ、あなたがこれから中学校で、人間の世界で暮らしていくために使う名前と、私が保護者として使う名前。どうかしら?」「うん、すごいいいと思うよ。でも、ニャカミはニャカミでいいじゃん。」「”星空凪“の保護者が“ニャカミ”だったらどうなのよ?」「めちゃくちゃ違和感。」「そうよね!?じゃあ朝ごはん作るから、それまで中1の勉強復習しててくれる?」「へ?」「だって明日よ?新学期。」「え?いやもっと前に言ってよーっ!!!!」
それからあっという間に新学期最初の日になった。
中学校に入ると、先生の案内で職員室で中学校の校則やらなにやら色々話された。それが終わると一気に廊下が静かになっていた。
教室の入り口のドアの前で、転校生の話が振られるまでうちは待機。
先生の色々な話はとてつもなくハッキリと聞こえる。なんならクラスメイトのちょっとしたコソコソ声まで聞こえている。
「聞こえすぎてちょっと気持ち悪い……」「ちょっと凪?大丈夫なの?」「うん………」「猫の血筋を継いでいるのかしら……?猫の耳は人間よりもとてもいいからね。それを別の生き物になっても引き継げちゃうだなんてすごいわね〜。あ、もうすぐ凪の出番よ。私との会話は普通に人間に聞こえるから、なるべく私に話しかけないように。あ、嫌ってるわけじゃないわよ。」「大丈夫、分かってるよっ!」
ガラガラガラッ
「では、星空さん。自己紹介を。」「は、はいっ!え、えっと…星空凪です、これからよろしくお願いします……。」
パチパチパチパチ……
当たり障りのない自己紹介だが、コソコソとしゃべっている声で拍手の理由が分かった。
「星空ってすげー苗字だな。」「凪っていうのも可愛い!仲良くしたいわね。」
名前か。
そんななか……
「……!!」
明希、やっぱりいた!!
明希は少し驚いたような目で、どこを向けているのか分からないが拍手をしてくれる。
さ、さすがにこれでは気付かないか……。
先生に案内されるなり席につくと、すぐ隣に明希の視線があった。
え、嘘!?うち明希の隣!?やった!!!!
「あ、私、夢城明希。よろしくね。」「うん、知ってるよっ!だって_」「凪バカーッ!!」
あ。
「え、私の事知ってるの!?どこで知ったの?」「え、えぇっとぉ〜……にゃ、にゃんでもない!」「?」
やっばあああああい!
なんか正体気づいてくれる前に怪しまれたら終わりーなきがする!
「なるべく学校で目立つようなことはしないほうがいいわ。凪の全てを話したとしても、「自分はもともとあなたの猫だった」なんて信じられないはずよ。」「で、デスヨネ…」
うちはニャカミに小声で返し、休み時間トイレでこっそり頭をかかえるのでした。