テラーノベル
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放課後の生徒会室。
窓から差し込むオレンジ色の光の中で、
カタカタとパソコンを打つ音だけが響いていた。
「……阿部会長、ここ、確認お願いできますか?」
「うん。ありがとう、〇〇さん」
静かに資料を受け取る指先がきれいで、
つい目で追ってしまう。
阿部亮平、生徒会長。
頭もよくて、頼りがいがあって、何より冷静。
完璧すぎる彼に隣で仕事をしていると、
自分が少し緊張してしまう。
「……ねぇ」
「はい?」
阿部くんが急に顔を上げた。
距離、近い。
ほんの数センチ先に、真面目な瞳。
「今日、顔色あんまり良くない。無理してない?」
「え、あ、だ、大丈夫です!」
慌てて笑うと、彼は少し困ったように息をついた。
「……そう言うと思った」
そして、ペンを置く。
「仕事、ここまででいいよ。残りは俺がやるから」
「え、でも、会長だって忙しいのに、」
「俺がやりたいんだよ」
その言葉に、思わず固まった。
さらりとした言い方なのに、やけに心臓に響く。
「いつも助けてもらってるし。 たまには俺が、
君を助けたい」
……あ、ずるい。
そういうこと言うの、反則。
「……じゃあ、お言葉に甘えて帰ります」
立ち上がると、阿部くんが小さく微笑んだ。
「うん。気をつけて帰って。 それと、」
彼はそっと、自分のマフラーを私の首に巻いた。
「外、寒いから」
ふわっと漂う彼の香りに、思わず息を止める。
「会長って、ほんと優しいですよね」
「優しいのは君限定」
一拍の沈黙。
頬が熱くなる。
彼はそんな私を見て、
いつもの穏やかな笑顔を浮かべた。
「じゃあまた明日。書記さん」
扉の前で手を振るその姿を見ながら、
私 は心の中でそっと呟いた。
明日、もっと好きになっちゃうかもしれない。
コメント
6件
もうこれ両思いなんじゃないのぉ 😏 🤟🏻 .