テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第23話 〚予知は、静かに現実になる〛
昼休みの終わり。
澪は、放送室へ向かうため廊下を歩いていた。
(……なんでだろ)
胸の奥が、少しざわつく。
その瞬間、
頭に走る――微かな痛み。
(来た……)
22話で見た妄想(予知)。
廊下の角。
立ち止まる澪。
そこへ――
「澪」
名前を呼ぶ声。
振り向くと、
海翔が立っていた。
「放送委員、時間大丈夫?」
距離は、近すぎず遠すぎず。
でも、視線が絡んだ瞬間、
澪の心臓が跳ねる。
「……うん」
そのやり取りは、
ほんの数秒。
けれど――
確かに“予知と同じ光景”だった。
(……現実になった)
澪が歩き出そうとした、その時。
――少し離れた場所で、
すべてを見ている視線があった。
りあ。
柱の影から、
二人の様子を見ていた。
(……なに、あれ)
澪と海翔。
自然に会話する距離。
そして、
少し遅れて現れた――恒一。
澪の方を見つめる、
あの視線。
りあは、
一瞬で理解してしまった。
(……好かれてる)
(しかも、二人から)
胸の奥が、
どす黒く歪む。
(なんで……?)
(なんで三軍のくせに)
(なんで、あの子が)
爪が、
ぎゅっと掌に食い込む。
澪は何も気づかず、
放送室へ向かっていく。
その背中を見ながら、
りあは、静かに笑った。
――でも、目は笑っていなかった。
(……絶対、許さない)
この日から。
りあの中で、
“嫉妬”は“憎しみ”に変わる。
そして、
クラスの空気は――
ゆっくりと、歪み始めていた。