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第24話 〚予知は、静かに現実になる 〛
昼休みの終わり。
澪は放送室へ向かって、廊下を歩いていた。
(……さっきの予知)
胸の奥が、まだ落ち着かない。
角を曲がった、その時――
前に、人影があった。
「白雪」
低い声。
澪の足が、止まる。
顔を上げると、
そこにいたのは恒一だった。
――予知と、同じ。
距離が、近い。
澪は反射的に、
一歩、下がる。
「……何?」
「席替え、遠くなったね」
恒一は、薄く笑った。
その笑顔を見た瞬間、
背中を冷たいものが走る。
(……やっぱり)
胸がざわつく。
予知どおり、
恒一はさらに一歩近づいた。
澪は視線を逸らし、
小さく息を吸う。
「用事ないなら、行く」
そう言って、
後ろへ下がった――その時。
「澪」
名前を呼ぶ声。
振り向くと、
海翔が立っていた。
「放送委員、準備一緒にやろ」
予知と、同じ言葉。
澪の心臓が、
大きく跳ねる。
「……うん」
澪はそう答えて、
海翔の横に並ぶ。
恒一は、
無言で二人を見ていた。
張りつめた空気。
澪はその視線から逃れるように、
海翔と歩き出す。
――その様子を。
少し離れた場所で、
誰かが見ていた。
りあ。
柱の影から、
澪と海翔をじっと見つめている。
(……なに、今の)
自然な距離。
当たり前みたいな会話。
しかも――
さっき、恒一までいた。
りあは、
一瞬で理解してしまった。
(……二人とも)
(白雪澪のこと、好きなんだ)
胸の奥が、
ぎゅっと歪む。
(ありえない)
(なんで、あの子が)
爪が、
強く掌に食い込む。
澪は何も気づかず、
放送室へ向かっていった。
その背中を見ながら、
りあは小さく笑った。
でも、その目は冷たかった。
(……奪われる前に)
(先に、壊してあげる)
この日を境に。
りあの中で、
嫉妬は“敵意”に変わる。
そして――
クラスの空気は、
ゆっくりと歪み始めていた。