テラーノベル
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マンションは大破し、あちこちで火災が燃え広がる。
瓦礫に閉じ込められた人々の悲鳴が夜の街に響き渡り、救急車や消防車、パトカーのサイレンが絶え間なく鳴り響いていた。
現場は、まさに地獄だった。
その中を、唯我と一祟が駆け抜ける。
ジュリーの声が通信機から響く。
「唯我、一祟! 人々を避難させて!」
「了解!」
唯我は瓦礫を蹴り飛ばし、負傷者を抱え上げる。
「落ち着け! 大丈夫だ、こっちへ!」
冷静な声で人々を誘導していく。
一祟も子どもや高齢者を支え、安全な場所へ導いていた。
「安心してください! ここまで来れば安全です!」
震える声でも、その足は止まらない。
しかし二人の胸には、重い不安が渦巻いていた。
公太はまだ目を覚まさない。
禁忌のカプセルの力が暴走する中、世界の希望は彼一人に託されている。
もし、その前に鷹野が――。
その想像だけで胸が締め付けられた。
その時だった。
黒紫の瘴気が夜空を裂く。
破壊の中心から、鷹野修司がゆっくりと姿を現した。
「……来やがったか。」
唯我は龍焉刀 を構える。
一祟も静かに拳を握った。
「時間を稼ぐ……ここは俺たちに任せろ。」
「はい……! 公太さんが目覚めるまで、僕たちで!」
鷹野は狂気に満ちた笑みを浮かべる。
「全力で来い……僕の力を味わえ!」
瘴気をまとい、一気に突進した。
唯我と一祟は背中を預け合い、迎え撃つ。
「行くぞ、一祟!」
「はい!」
二人はネオコードの出力を限界まで引き上げた。
青白い光を放つ龍焉刀 。
烈風をまとった神威撃。
次の瞬間――
轟音と共に鷹野へ激突する。
拳と刃がぶつかり合い、火花が散る。
空気は震え、周囲の建物が次々と崩れ落ちた。
鷹野は笑う。
「やるじゃないか……! もっと楽しませろ!」
唯我と一祟は互いに視線を交わし、頷いた。
そして奥義を放つ。
「奥義――《絶閃・龍牙》ッ!!」
龍焔刀に青白い閃光が収束する。
一閃。
夜空そのものが裂けた。
同時に一祟が叫ぶ。
「《神威撃・天嵐掌》!!」
拳から放たれた嵐が巨大な竜巻となり、鷹野へ襲いかかる。
二つの奥義が重なった。
轟音。
閃光。
衝撃波。
街全体が大きく揺れる。
しかし――
爆煙の中心で、鷹野は両腕を交差させたまま立っていた。
「……フッ。はははッ!!」
傷一つない。
「いいぞ……!
その力……もっと見せろ!!」
禍々しい瘴気が爆発する。
ドォォォン!!
唯我と一祟は吹き飛ばされ、ビルの瓦礫へ激突した。
「ぐあぁぁッ!!」
「くっ……!」
大量の血を吐き、膝をつく。
それでも二人は前を見据えた。
「まだ……倒れるわけには……」
「公太さんが戻るまでは……!」
その頃――ORVAS医療室。
ベッドの上で、公太の身体が激しく痙攣していた。
警告音が鳴り響く。
ジュリーが叫ぶ。
「ダメ! このままじゃ公太の身体が崩壊する!」
しかし次の瞬間。
公太の胸から眩い光が溢れ出した。
鼓動が激しく脈打つ。
閉じられていた瞳がゆっくりと開く。
「……ぐ……俺は……まだ……!」
莫大なエネルギーが医療室を包み込み、天井へ向かって光の柱が突き抜けた。
一方、戦場。
立ち上がれない唯我と一祟へ、鷹野がゆっくりと歩み寄る。
「終わりだ……。」
その瞬間――
パンッ!!
乾いた銃声が夜空に響いた。
弾丸は鷹野の肩をかすめる。
しかし火花が散っただけで傷はつかない。
鷹野がゆっくり振り向く。
「……誰だ?」
瓦礫が崩れる。
血まみれの手が地面から伸びる。
重傷を負いながらも立ち上がる一人の男。
畑中だった。
荒い息を吐きながら銃を構える。
「……てめぇ……まだ終わってねぇぞ……!」
「畑中さんッ!」
一祟は思わず叫ぶ。
唯我も静かに目を細めた。
「……無事だったんですね。」
畑中は血を吐きながら低く言う。
「……喜ぶのは後だ。」
一祟はすぐに状況を説明した。
「畑中さん! 公太さんは禁忌のカプセルを……今、基地で治療中です!」
畑中の表情が険しくなる。
「……ジュリー。ついにやりやがったか……。」
苦痛に耐えながら銃を構え直し、二人へ命じる。
「いいか――公太が来るまで、ここで奴を足止めするぞ。」
「了解!」
「はい!」
傷だらけの三人が再び並び立つ。
その瞳には、決して折れない覚悟の炎が宿っていた。
そして運命を懸けた最後の時間稼ぎが、静かに始まる――。
コメント
1件
わあ、第87話、めちゃくちゃ熱かったですね……! 唯我さんと一祟くんが傷だらけでも立ち上がる姿に胸が熱くなりました。そしてまさか畑中さんがここで戻ってくるとは! 血まみれで銃を構えるシーン、痺れました。みんなで「公太さんを待つ」という共通の意志で並び立つラスト、次が気になって仕方ないです…! 最後の時間稼ぎ、どうなるんでしょう。引き続き応援しています🔥
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