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病院を出ると、東の空が白み始めていた。
数時間前まであんなに怖かった夜風が、今は心地いい。
彼女の手の温もりが、まだ右手に残っている。
『耐えてたんだね』
その一言が、勇気に変えてくれた。
家に帰り、鏡の前に立つ。 そこには、しっかりと前を見据える一人の人間がいた。
クローゼットから制服を取り出した。
いじめられて、汚されて、呪いのように感じていたこの服。
でも、今の私には、これが「痛みと言う名の絆」に見えた。
「……行ってきます」
自分に言い聞かせるように呟いた。
ドアを開けると、眩しいほどの朝日。
い、痛いよ・・・怖い・・・。
ハードモードな世界は、相変わらず容赦ない。
一歩進むごとに、あの「教室の空気」が脳裏をよぎって足がすくみそうになる。
でも、私はポケットの中のスマホを握りしめた。
そして、病院のベッドで今も戦っている、彼女との約束がある。
校門が見えてくる。 心臓がうるさいくらいに跳ねる。
「Amia」という完璧な仮面は、もうない。
それでも、私は扉に手をかけた。
逃げることも、延期することも、選択肢に持ったままで。
それでも今日、私は私の人生を、自分の手で選び取るために。
教室のドアを開ける。 静まり返る空間。突き刺さる視線。
へへっ、昔のAmiaならば「おっはよー!みんな元気ー?」とかでも言ってるんだろうけど。
「……おはよう」
私はやっと、自らの意思で世界にログインした。