テラーノベル
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会いたくない人ほど、どうしてまた現れるのだろう――。
本店の照明工事が終わるまで落ち着かないので、伊地知部長と私の歓迎会は延期にしてもらっていたのだけれど、週末の金曜である今夜それが行われることになった。
店舗運営部は部長を含めて十名おり、男性が六名、女性が四名で構成されている。部長と私のために今日は全員参加してくれるそうだ。
ちなみに幹事は氷室くんで、会社の近くにある大手チェーンの居酒屋の座敷席を予約してくれたらしいので、仕事を終えた私たちは全員でぞろぞろと歩いて向かった。
「乾杯!」
それぞれ頼んだ飲み物が到着したところで、氷室君が音頭を取ってグラスを合わせた。
私の左隣に座った伊地知部長が「労働のあとのビールはおいしいわね」と言いながら、いきなりジョッキの中身を半分くらい空けている。
実は彼女はなかなかの酒豪で、泥酔した姿を私は今まで見たことがない。
「部長、お疲れ様です。香椎、飲んでるか?」
しばらくすると氷室くんが私たちの正面に座って話しかけてきた。私とは同期なのに、彼がこんなに社交的で周りに目を配れるタイプだとは知らなかった。
「氷室くん、香椎さんはそんなにお酒が強くないから勧めすぎないでね」
私が自己申告する前に、部長が氷室くんに忠告してくれた。
氷室くんはそれを聞き、先手を打たれたとばかりに口をへの字に曲げておどけている。
「じゃあ、酒は控えめにして、たくさん食べろよ」
そう言うが早いか、氷室くんが唐揚げをふたつ私の取り皿に乗せる。酔いが回ってきたのか、いつも以上に饒舌だ。
私と彼のやり取りを聞いていた伊地知部長が、テーブルに頬杖をつきながらクスクスと笑っている。
「あ、そうそう。この件を部長に聞きたかったんです」
部長にそう声をかけつつ、氷室くんが私にも見える角度でスマホを操作して画面をこちらに向けた。
「なに?」
「真凛の熱愛報道ですよ。相手の男って、どう見ても神谷社長じゃないですか?」
氷室くんが見せたのは、ウェブ版の週刊誌に掲載されたスクープ写真だった。
そこには夜の街を歩く男女の姿があり、女性のほうは真凛さんだとはっきりわかる角度で写っている。
彼女の右隣にいる背の高い男性は、目元が黒く塗りつぶされているものの、氷室くんの言うように神谷社長で間違いないだろう。
記事のタイトルも【真凛、イケメンスポンサー社長と高級焼肉デート】と書かれてある。
「ふたり、付き合ってるんですかね?」
なにげない氷室くんの言葉がグサリと胸に刺さった。
幸い、撮られた写真では腕を組んだり手を繋いではいないけれど、スタイルのいいふたりが並んでいるだけで絵になるし、どう見てもお似合いだ。
『冴実が勇気を出して手を伸ばそうとしていないだけで、届くかもしれないよ』
ふと彩羽の助言が頭に浮かんだ。あの言葉で私にも望みがあるかもしれないと、うっかり真に受けるところだった。
社長のお相手は、真凛さんくらい華のある女性でなければ釣り合わないとわかっていたはずなのに。
「それは……デマじゃないかな」
枝豆をつまみつつ、伊地知部長がフフフと笑う。
「え、付き合ってないんですか?」
「真実は知らないけど、違う気がする。社長の口から真凛さんの話は聞いたことがないからね」
「部長が言うと説得力がありますよ。社長や専務とは長い付き合いなんですよね?」
鷹槻れん

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みぅです🤍🥀 第23話、読みました。 飲み会の和やかな空気と、香椎さんの中で静かにざわつく感情のギャップがすごく切なくて……。同期の氷室くんの気遣いが温かいからこそ、真凛さんの話が出たときの「グサリと胸に刺さった」って一文が、めちゃくちゃ胸に響きました。 届くかもしれないって思わせてくれた彩羽さんの言葉も、今は逆に痛いですね……。社長のことをまだちゃんと想ってるんだなって、伝わってきました🌙 続きも読みにいきます!