『貴方ノ為ならどんな罪モ犯ス』〜桃の花は赤く散る〜
第8輪 惨劇ノ始まり始マリ
次の日の夜…私達は屋敷を出る。
『……みんな。行こう。』
『はい。』
それぞれ武器を抱え、屋敷を出る。
『まず…。バスティン、ボスキ、ラト、テディは馬で森の中を先に散策して欲しい。バスティンとボスキは狩りで夜の森に慣れてるから任せたい。ラトはよく森を散策してるし、テディは元偵察隊の副隊長だから夜の森を偵察することもあったよね。』
『『あぁ。任せてくれ。』』
『クフフ、はい。主様。』
『はい!』
『もし罠があった場合直ぐに伝書鳩で知らせてね。』
『はい!』
4人は先に馬に乗り屋敷の門を出ていく。
『ユーハンのことだから罠を用意してるはず…。みんな、行くよ。』
私は馬に乗る。
『主様、馬車は…。』
『馬車だと中から外は見えないから危険なの。御者が気付いたとしても1人で太刀打ちできない罠だとしたら…。』
『分かりました。主様。』
『はぁ!』
私は馬の腹を叩き馬を走らせる。
パカラパカラ…ッ!
その頃4人――。
エスポワール 森の中
『薄気味悪ぃ……。』
『ええ……いつもと違う雰囲気を感じます。なんだか……。』
『っ、あれって…。』
目の前に空き家が現れる。
『っ、この血の匂い…っ。』
『まさか、ユーハンが中で…。』
と、その時だった。
ビュンッ!
『っ、お前ら避けろ!!』
『『『!?』』』
暗闇から矢が飛んでくる。
『罠か…っ。主様達に知らせねぇと…!』
ビュンッ!
『ギィギィ……!!』
『なっ……!!』
伝書鳩の胸に矢が当たる。
『そんな……っ。』
『急所を狙った見事な弓使い…。間違いない。ユーハンが作った罠だ。』
ザッザッ……。
『こんばんは。おやおや……。バスティンさんにボスキさんにラトさん……強い執事が先に偵察ですか。ふふ、罠は気に入って頂けました?』
『『『『ユーハン…!!\ユーハンさん…!!』』』』
『この空き家に近づいたら罠が発動するようになっています。主様達はもうそろそろ着きますかね。』
『っ、お前がしたことはもう分かってる。主様たちの到着を待たなくても俺らでケリをつければいい。剣を抜け。ユーハン。』
俺はユーハンに近付く。
『おや…それ以上来ていいんですか?』
『は……?』
『ボスキさんのその先…。貴族の子供達が埋まっています。』
『っ……!?』
『ボスキさんは子供の亡骸を踏むような方なんですか?』
『っ、てめぇ…っ。』
『私はボスキさん達に用はありません。私が用があるのは主様です。でも…貴族より1番邪魔なのは貴方達です。私が1番主様のことをお慕いしているというのに…。私の主様にベタベタと…。』
ユーハンは子供が埋められている地面の上を堂々と歩いてくる。
『1番先に殺しておきましょうか。主様達の見せしめに…。』
『『『ボスキさん!』』』
『構うな。お前ら。戻って主様達に知らせろ。』
『でも、ボスキさんが…!』
『お前ら俺が負けると思ってんのか?早く行け!』
『っ…!!』
『必ずすぐ助けに戻る。それまで持ちこたえてくれ…!』
俺達は主様の元へ戻る。
『ユーハン。お前はここで俺が殺す。』
ジャキッ
『ふふ、先に殺されるのはどちらでしょうね…?』
スラリッと剣を抜いた。
『はぁ、はぁ…!あと少し…。 』
『主様!!』
『テディ!?それにバスティンとラト…。』
『ボスキさんが!!』
『え……?』
『空き家を見つけて、ユーハンさんが出てきて…っ。ユーハンさんとボスキさんが今戦っています。』
『ボスキが…!?早く行かないと…!』
『罠があるから気を付けるんだ主様。』
『うん!』
(ボスキ…お願い…無事でいて…!)
私は馬を走らせる。
『く…っ。』
俺は血を流して倒れる。
ドサッ
『……残念です。ボスキさん。足止めにもなりませんでしたね。おやすみなさい。』
『っ……!』
『――やめて……!!』
劈くような声が響き渡る。
『主、様、来るな…っ。』
『…主様――♡』
『ユーハン、もうやめて……。これ以上手を汚さないで!』
『……何を言ってるんですか?私は主様の為にしたんですよ?さぁ。中に入ってください。主様に見せたいものがあるんですよ。』
ユーハンは剣を収めて私に近付く。
『主、様行っちゃ、ダメ、だ……。』
『…。ルカス、ミヤジ。ボスキの手当てをお願い。』
『っ、主様!!っ、離してください、主様!主様ァ!!』
ユーハンに手を引かれ空き家へ入っていく。
ガシャンッ。
空き家に入り私は鍵を閉める。
『っ…!!開けてください!主様!!』
ドンドンドンっ!!
みんなが外でドアを叩く。
『さぁ。これで二人っきりです。主様にプレゼントです。私の芸術品ですよ。』
次の瞬間…私は言葉を失った。
次回
第9輪 綺麗ナ瞳ニ赤イモノ
コメント
3件
凄く次回が楽しみです…これからもよろしくお願いします🙇