テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「え?」
「だから、浮気します…っ」
「……もう一回、言ってくれるかな?」
「だ、だから…浮気…」
「俺が聞いてるのは何を言ってるか、なんだけど?」
一歩近付くと、10番…トラゾーくんは同じように一歩下がった。
泣きそうな顔をして、傷付いた表情をして。
俺に対してそんな顔をしてしまってることに申し訳なさそうな目をしていた。
「どうしてそんなこと言うの」
自分でも驚くくらい冷たい声だった。
その声にびくりと肩を震わせたトラゾーくんに、怖がらせてはダメだと息をひとつ吐く。
「…怒ってるんじゃないんだよ。そんなこと言わないトラゾーくんがどうしてそんなこと急に言うのか教えて欲しいんだ」
長い沈黙あと、トラゾーくんが小さく口を開いた。
「だ、って…スティーブさん、綺麗な女の人と話してました…。俺なんかといるより楽しそうにしてたから…」
後退をしていたトラゾーくんは壁際に背がついた瞬間、しまったと言わんばかりに咄嗟に横に逃げようとした。
かなりの瞬発力ではあったけどそうさせないように腕で檻を作って囲った。
いちを俺だってそれなりの場数を踏んできた看守だからね。
「…それで、浮気?」
「やっぱり、俺なんかじゃ、…釣り合わないし、そもそも、男同士なんて…」
ぽろっと涙が落ちた。
囲っていた腕を壁から離して彼の柔らかいほっぺを包む。
「そんなことない」
「スティーブさん…?」
顔を上げたトラゾーくんの緑の瞳は涙で揺れていた。
「俺はトラゾーくんが1番好き。代わりの人なんて誰もいないよ」
「ふぇ…?」
「君にとって代わる人間なんていない。俺があの時話してた人は看守仲間で、全然そういうのじゃないよ」
「でも、楽しそうでした…」
「そりゃ彼女には相談に乗ってもらってたからね。トラゾーくんの可愛いところを話してたら自然と楽しくなっちゃうよ」
きょとりと目を丸くして、その次にはふにゃっと破顔した。
「よ、かった…っ」
その破壊力たるや。
誰にも見せたくない顔をしていた。
「俺が浮気するなんて有り得ない。だから、トラゾーくんも嘘でもそんなこと言っちゃダメだよ?」
「ごめんなさい…スティーブさんに嫌な思い、させましたよね」
「いいんだよ?ヤキモチ妬いてくれたんだろ?」
今度は顔を赤くして狼狽え始めた。
このコロコロ変わる表情が好きだなって思う。
「ぅゔ…」
「トラゾーくん以上に可愛いって思う子はいないから安心して?トラゾーくんも俺以外は見ちゃダメだからね」
「可愛くはないですけど…、初めからスティーブさん以外は見てないです」
不意打ちを喰らって心臓が跳ねる。
この子はいつもこうやって無意識に人のことを喜ばせることを言う。
「ホント、天然タラシなんだから困ったもんだよ」
「天然…?」
「まぁいいや。そこんとこも、トラゾーくん自身に教えてあげる」
「教え…?何のことか分かりませんけど、よろしくお願いします…⁇」
まだ何をされるか分かっていないトラゾーくんにはお仕置きも兼ねて俺がどれだけ君のことを好きなのかを教えてあげなきゃね。
その身体に。
「ん、じゃあこっちおいで?」
両手を広げると何の疑いもなく胸に収まるトラゾーくんは俺を見上げた。
「ふへっ、…安心します」
無邪気に笑って俺に擦り寄る姿は普段見る姿とギャップがありすぎる。
「ん゛ん…ッ」
よく今まで無事だったなと思う。
まぁ、大方彼らがトラゾーくんを守ってきたのだろう。
あまり表に出ないのは、先に潜入して情報収集をしてあとを任せる為だろうけど。
こういうタラシみたいなところがあるから表に出したくない、という彼らの明け透けの独占欲が丸見えだ。
「ま、もう俺のだけどね」
「?」
「何でもないよ。…それよりトラゾーくん目閉じて?」
不思議な顔をしながらもすっと瞼を素直におろす。
揺らいでいた緑が隠れた。
「(心配になるくらい素直なんだよな…)」
短い黒髪から覗く少し赤い耳に手を添えて塞ぐ。
「ん、っ…?」
次いで無防備になってる柔らかい唇を塞いだ。
勿論、俺自身の唇で。
「んぅ!」
驚いて力が抜けているところを狙って口の中に舌を入れる。
「ふっ…!」
「ん、」
それでも、おずおずと俺の舌を自分の舌で触ってくるいじらしさが可愛かった。
耳を塞がれているトラゾーくんには音がダイレクトに伝わってるのだろう。
肩がびくびくと跳ねているのが見える。
ぎゅうっと強く目を閉じて俺に応えようとしている姿にぞくりと背筋が震えた。
「(可愛い)」
大事にしたいと同時に泣かせたいと思う俺がいた。
こんな感情を抱いたのはトラゾーくんが初めてで。
「ぅ、ン…っ」
「っ、」
「はッ、ふ…っ」
唇を離した時にはほっぺは上気して赤く染まっている。
口の端からは飲み込みきれなかった唾液が垂れていて、緑も潤んでいた。
「可愛いね」
耳元で囁いてあげればびくっと肩を跳ねさせている。
「ゃ、です…ッ」
「ダメだよ。嘘ついたんだから、ね?」
「それは…っ、…ご、めんなさい…」
服の中に手を入れれば更に体が跳ねた。
「ひゃっ…!」
「ちゃんとごめんなさい、しなきゃ」
「スティーブさんっ…」
背中を撫でれば首を横に振って嫌々している。
その反応も相手を煽る材料にしかなってないのに。
分かってほしいけど、一生知らないままでもいてほしい。
「(でも、俺だけが知ってたらいい)」
「ふ、ぁっ!…そ、こだめです…っ」
軽いスキンシップはしてきた。
だけど、こうやって触るのは初めてで。
「…感じる?」
「んゃっ!」
擽ったさを感じるところは性感帯だと聞いたことがある。
「可愛いね♡」
「ひゃん…っ!」
胸の尖りを摘むとびくりと背中がしなる。
「女の子みたい」
「ぅぅ…くらべるの、やです…っ」
涙目で上目に睨む顔によくない感情が湧く。
多分、これも自覚のない行動なんだろうな。
「比べてないよ。でも、こんな反応してくれたら嬉しいからさ」
「ひ、ぁン…ッ」
片手で収まる程の胸の大きさ。
鍛えてるんだろうけど、程よい柔らかさがある。
「ゃ、や…っ、むね、ぃやです…っ」
俺の手を掴んで離そうとするトラゾーくんの手は震えていて、まともに力も入っていない。
「気持ちいいから?」
「っっ!ち、がっ…!」
「じゃあ、もっと触ってあげるね?」
壁に背をつけさせたまま、体勢を低くする。
「すてぃーぶさん…?」
服の前側をたくし上げて、胸を露わにする。
「!!」
触っていたせいで片方は赤くなっている。
「こっち、ね?」
もう片方を口に含むとびくりと大袈裟なくらい身体が跳ねた。
「ん、ぁあっ⁈」
舌で転がすように触る。
「ん゛、ぅう、っ!ひゃッ」
俺の頭を押さえて離させようとしてるけどそれさえも煽ってるとしか思えない。
歯を立てると高い声が上がった。
がくりと力が抜けて座り込もうとするトラゾーくんを抱える。
「は、ァ…ッ、ン…♡?」
「イッちゃった?」
ズボンの前側を触ると湿った音がする。
その音を聞いて顔を真っ赤にするトラゾーくんは両手で顔を覆い隠した。
「やだ…、みなぃでくださ…ッ」
隠していた手を掴んで顔を覗き込む。
涙目になって眉を下げ恥ずかしさと困惑した表情をしている。
自分の喉がこくりと鳴った。
「トラゾーくん、」
「は、ぇ…?」
抱き上げてソファーに降ろす。
「うーん、また痩せたなぁ…。ご飯抜いたでしょ」
「ぅっ…」
「まぁ、それも兼ねてお仕置きね?」
ズボンと下着を一気に下ろすと反応をしているトラゾーくんのモノが目に入る。
「ふふっ、可愛い♡」
「やっ…」
「たくさん、触ってあげる」
「ッッ!」
薄く割れた腹筋をなぞると、そこの筋肉が強張る。
「トラゾーくん、自分の言ったことには自分で責任をとろうね?」
「ごめんなさ…ッ」
トラゾーくんの身体を折り曲げて後ろに俺自身をズボン越しに擦り付ける。
「ひゃッ♡⁈」
「ココ、いーっぱいにして、たくさん、ごめんなさい、言おうね?」
「っ♡♡⁇」
キャパオーバーしてるのか、饒舌に回る舌は回らず口をパクパクと開閉している。
やがて、閉口して覚悟を決めたかのように俺の背中に手を回した。
「(俺以外のとこに行かないようにしなきゃね)」
二度と嘘なんてつけないように。
絶対に他の奴のとこに行かせないように。
閉じ込めてでも。
俺のすること許してくれるよね?
だって、トラゾーくんは優しい子だから。
コメント
4件
甘々ドロドロ快楽堕ち最高すぎる…♡
新シリーズありがとうございます!!