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非日常というのは、あっという間で、彼女の秘密を知ってから1週間が経過しようとしていた。結論から言うと、僕と彼女の関係は何も変わりはしなかった。まぁ、それもそうだろう。そもそも、僕と彼女は幼なじみというだけであり、所属しているクラス、部活、カーストのグループまで全てがバラバラである。そのため、学校での関わりは全くと言って良いほど無い。ただ、ひとつだけ、変わったことがあるとするならば、僕が彼女の体温を意識してしまうようになったことくらいだ。彼女は暖かくて、カイロのようだった。これを彼女に言うと、『誰がカイロだっ!』って怒られちゃうんだけどね。それから、ひとつ訂正だが、今は3月下旬。世でいうところの春休みに入ろうとしていた。あと三週間もすればクラスが変わる。つまりは同じクラスになる可能性があるということだ。彼女と同じクラスになりたいかって?今までの僕なら即答でYESだろう。しかし、彼女の第2性を知ってしまった僕は気軽にYESとは言えないのである。なぜなら、彼女の秘密を知っているのは僕だけなので、一緒に帰ることもしばしばある。もし、同じクラスにでもなったら、____僕は彼女に告白せずにはいられなくなるだろう。告白だけならいいのだ。しかし、もしも、僕と彼女の想いが通じあったら?僕は溶けて消えてしまうし、彼女の心に深い傷を残してしまうだろう。僕は、それならば、僕の気持ちは伝えない方が良い。という、ごく一般的な判断をその場で下し、1人で家に帰った。それなのに、それなのに、
「どうして君が、僕の部屋に居るのかな?」「来ちゃった☆」
いや、来ちゃった☆じゃねぇよ。心の中でツッコミをいれる。
「もしもーし!とおるーん!聞こえてますかぁー!」
「聞こえてますけど???」
「じゃあ、なんで返事してくれないの?あ、もしかして、私が来て照れてるっ!とかかな?」
「殴るよ?」
「きゃー。こわーい。」
「うん。思ってもない棒読み辞めようか?」「バレたー?」
にししっなんて、いたずらっ子みたいに笑った君を不覚にも可愛いと思ってしまった。「はぁ、で?何をしに来たの?」
「うん。あのね、私好きな人が出来たんだ。」
頭を金槌で殴られたような衝撃だった。なんで?どうして?君の事を1番解っているのは僕なのに。そんなお門違いな気持ちを隠し、僕は彼女に尋ねる。「どんな人なの?」
ーーー
「どんな人なの?」
彼は私にそう尋ねる。幼なじみの青葉 透。私がジュースだということを唯一、知っている人。とおるんのお母さんが持ってきてくれたオレンジジュースを飲み干して彼に告げる。「……秘密♪」
あからさまに呆れた顔。いいね。その顔好き。お察しの通り、私の好きな人は、青葉 透、目の前の彼だ。なんなら、7年前、小4の時からずっと彼のことが好きだ。7年も拗らせた恋は私を狂わせるのには十分すぎる材料で、彼の泣き顔やダメなところまで全てが愛おしく思えてしまう。彼の全てが愛しい。彼と一緒になりたい。そんな事を考えつつも告白する勇気のない弱虫な私は、もう少しだけ、この幼なじみという立場に甘えていようとこの日決めた。