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「緊張する……」

「私も……」

「ママ、パパ、はやくー!」


実家を目の前にして足が止まってしまっている両親とは違い、イキイキとしたひなが実家の門を開けて入っていく。

父はキレるタイプではないけれど、さすがに今回のことはどう出るかわからない。知美さんだけが頼りだ。


「じいじー! ひなきたよー! ともちゃーん!」

「ああ、ひなちゃんいらっしゃい! じいじは奥にいるわよ」

「じいじー!」


ひなは脱いだ靴をきちんと揃えてから、父のところへ走って行ってしまった。


「……こちらがひなちゃんの?」

「は、はじめまして! 森勢鷹也と申します!」

「和久井知美です。まあ! イケメンさん。お話は主人と聞くわね」

「と、知美さんっ」

「大丈夫よ。さ、入って入って」


知美さんがにっこり笑って中へと促してくれる。うぅぅっ……頼りにしてます!


リビングに行くと、ソファに座っている父の膝に、ひなが座り込んでいた。


「……は、アメリカってところにいたの。おしごとしてたんだってー」

「ほう」

「ひなのふくみみは、パパにそっくりだったの」

「そうなのか」

「うん。あとね、パパはタカヤっていうの。じいじタカってしってる?」

「タカ……鳥か?」

「うん。とりだよ! パパはとりのタカなの」

「ほう」

「ひなはね、パパのこどもだからひななの。ひなどりのひななの」

「ひな鳥のひな……」

「ひなは、さいこうにかわいいひなどりなのよ」


ひな……。全部言っちゃった!


「なるほどね……」

「あ、あのー……」

「ひなが色々教えてくれたぞ」

「アハハハ……」

「……君が鷹の鷹也くんか」


父が鷹也をギロっと睨んだ。


「は、はい! 初めまして。森勢鷹也と申します。ひなの……父親です。あのっ、申し訳ありませんでした」

「……初めましてじゃないんだが」

「え?」


初めましてじゃない? どういうこと?


「君は、杏子の同級生だろう?」

「は、はい」

「高校の体育祭の時、杏子を運んでいただろう」

「あ、覚えてらっしゃるんですか……」


高校の体育祭?

そういえば、高一の時、3人4脚で派手に転んだ私を、鷹也が保健室まで運んでくれたっけ。痛かったけど、お姫様抱っこされた衝撃の方が強くて恥ずかしかったのを覚えている。もちろんキュンとした素敵な思い出だったんだけど。

でもあの時は……。

「観覧席で見ていて、杏子が心配で慌てて保健室まで行った。その時彼とすれ違ったんだ。体操着の名前を見て礼を言った記憶がある」

「覚えてます。当然のことをしただけだったので。ちゃんと挨拶しなくて失礼しましたっ」


鷹也が深々と頭を下げる。


「お父さん、あの時はまだ全くお付き合いとかなかったの。だから――」

「……なんにせよ、助けてもらったことは覚えている。でもその後付き合いだしたのなら、挨拶に来るべきだろう?」

「も、申し訳ありません……」

「しかも、子供まで作っておきながら4年も放置するとは。アメリカに行っていたのかもしれないが、それにしても連絡のしようがあるだろう」

「それは、私がブロックしていたからで――」

「じいじ、パパはおしごとだったのよ?」

「ひ、ひな?」


ひなが父の膝に座り、真正面から弁護を始める。

「パパはアメリカにいってたの。すっごくとおいがいこくなの。おしごとだったのよ?」

「そ、そうだな、お仕事か…………じゃあ仕方ないか?」

「うん。おしごとだもん。しかたないの」


これは……私が残業で遅くなった時と同じ反応だ。

私が「遅くなってごめんね」と言うと、知美さんに抱っこされながら言うのよね。「おしごとだもん、しかたないの」って。

父もそのことに気づいたようだ。

ひなが今まで我慢してきたこと。それを否定することは出来ないのだと……。


「ふふふ……ひなちゃんの言う通りね」

「はぁ……。仕方ないな……。ひなのことはわかった。鷹也くんが父親だということは認めよう。でも結婚となれば話は別だ。二人が別……離れるに至った理由があるのじゃないか? もし杏子が苦労するようなことがあるなら賛成はできない」

「お父さん!」

入れ替わったらバレました!

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