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Fumeiでーす
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#サカモトデイズ
水羽
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#シリアス
31
第3話 あなたから言って下さいね。
翌朝、第3部隊の食堂。
テーブルの真ん中には、大皿に盛られた筑前煮とポテトサラダ。
「うわ、何すかこれ! めっちゃ美味そう!」
カフカが身を乗り出し、レノが不思議そうに保科を見た。
「副隊長、昨日って非番でしたよね?」
「ああ、それな。街の人にたくさん貰うたんよ。みんなで食べ」
いつも通りの隊服に身を包んだ保科は、湯呑みを傾ける。
「貰い物にしては量がえげつねえ….」
「逆に疲れてないですか?」
「全然。しっかりリフレッシュできたわ」
その横で、キコルは無言でポテトサラダを口に運んだ。
咀嚼しながら、昨日の光景を思い出す。
ブランドショップの帰りに偶然見かけた、泥だらけの副隊長。
(何やってたのよ、あの人……)
気付けば漬物を渡され、気付けばジュースを持たされ、気付けばおばちゃん達との写真撮影に100点満点の笑顔で応じていた。
(完全に馴染んでたーじゃない……。ほんと何なのよ、あの異常なコミュ力……)
心の中で呆れつつも、箸は止まらない。お惣菜は文句なしに美味しかった。
「――いい匂いだな」
低く落ち着いた声とともに、亜白ミナが食堂に現れる。
保科が自然に隣の席を空け、亜白はそこに腰掛ける。
差し出された箸を受け取り、筑前煮をひとつ、口に運ぶ。
ゆっくりと味わい、それから保科を見つめた。
「………おいしい」
「でしょ。あそこのおばちゃんら、味付け上手なんですわ」
「いい休日だったみたいだな。」
「お陰様で」
ミナは小さく頷くと、隊服のポケットから小さな紙袋を取り出し、保科の前にスッと差し出した。
「プレゼントだ。この程度のもので申し訳ないのだけれど」
「え……? なんすかこれ」
カフカがすかさずつっこむ。あとで腹筋100回になるぞ大丈夫かほんま。
保科が袋を開けると、そこに入っていたのは、彼が昨日買い損ねたお気に入りの店の珈琲豆だった。
「えっ、ええんですか?! これ、僕が昨日買おうと思ってた……!」
「保科が欲しがっていたのか…………?よかった。知らなかったんだけれど、美味しいと聞いたから」
「遅くなってすまないな。さすがに非番の日にプレゼントを渡しに行くのも..と思って。」
「いえ、ほんまに嬉しいです。」
素で目を見開いて喜ぶ保科と、その様子を少し微笑みながら見つめる亜白。そのやり取りを前に、カフカ、レノ、キコルの三人は箸を止めてポカンと固まっている。
「……あの、隊長、副隊長。それ、どういうことですか?」
レノが恐る恐る尋ねると、ミナは不思議そうに三人を見返した。
「どういうことも何も、みんな知らないのか? 昨日は保科の誕生日だが」
食堂が一瞬、静まり返る。
直後、カフカが立ち上がって大声をあげた。
「ちょっと保科副隊長ーーー!!! 聞いてないんですけど!?」
「何よそれ! 水臭いじゃないですか!」
キコルまで眉を吊り上げて怒る中、保科は珈琲豆を大事そうに抱えながら、腹も一緒に抱えてカラッと笑った。
「あはは。。せやかて、誰にも聞かれへんかったし……。それに昨日、街の人らにいっぱいいいもん貰うたからな。僕の誕生日祝いはこれで十分やわ」
大皿の筑前煮を見つめながら、保科は本当に嬉しそうに目を細める。
「――で、隊長。今日のご予定は?」
「会議、十五分後」
「うわ、やっぱり現実はシビアやわ」
保科のボヤキに、カフカたちが「ハッピーバースデー現実!」とヤケクソ気味にツッコミを入れ、食堂は今朝一番の笑い声に包まれた。
こちらもヤケクソな終わり方で申し訳ない。これにて完結です。
コメント
2件
尊い...!! 猫さんの書く怪8が大好きです!!
ああ、完結おめでとうございます…! しかも保科副隊長の誕生日回だったんですね。隊長が珈琲豆をプレゼントするシーン、優しさがにじみ出ていてじんわりしました。筑前煮やポテトサラダ、街の人たちに愛される保科さんの人柄がよく伝わってきて、食堂の温かい空気が目に浮かぶようでした。短いお話だったけど、満たされた気持ちになれるラストで素敵でした🌷