コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
もう、やめてくれ。
薄暗い部屋の中、苦痛に満ちた男の声が響く。
「いいえ、辞めません。まだ貴方が話していない情報は山ほどあるでしょう。」
「無い、もう全部話した!」もう痛いのは嫌だ、死にたくないという必死の思いから、目に涙を浮かべ大声で主張する。
女は少し考えた後、男の目を数秒間見つめた。
「本当に?」
その一言にどれだけ圧がかかっていたのだろうか。男はヒュッと息を呑んで焦ったように視線を逸らした。
「嘘、つきましたね。」
女は腹を立てたのだろう。男の顔を何発も何発も殴る。それを繰り返していると、男は段々気力を失っていった。
そろそろ吐きなさいよ、知ってるんでしょ?あいつの居場所。と力が籠り震えた声で鋭く睨みつけ、ぐったりとした男の前髪を強く引っ張った。
「知らねぇ。さっきから何度も言っているだろ。」 男はゲホゲホと咳き込み、赤黒い血を吐き出した。
あぁ、どうしてこんなことになってしまったんだ。俺は何もしていない、全部”あいつ”のせいだ。と責任逃れをしながら痛みに耐え、苦しんだ。
「まだそんな事を言うんですか。…なら、もういいです。」
カチッと何かのスイッチを付ける音が響いた途端、椅子から42v以上の電圧が流れた。
男は激痛に襲われながら、永遠の眠りについてしまった。 だが、ここで楽になれてよかっただろう。_
1│追跡
男が死んだことを確認すると、拘束具を外し、部屋から出ようと扉を開けた。 「おぉ、意外と早かったんですね。もっと遅れて来ると思っていましたよ。」外に出た途端、変な白い服を着た知らない男に話しかけられた。「どなたですか。」少し警戒しつつも話しかけてみる。
「あ、申し遅れました。私、特殊清掃員の桐谷と申します。天川さんでお間違い無かったでしょうか。」 「え?あ、はい。」そうか、業者の人か。依頼してたのすっかり忘れてた。
「えっと、遺体はどこに。」「この部屋の中です。」「ありがとうございます。それじゃあ、失礼いたします。」この人、凄く礼儀正しい人だな。
桐谷さんが部屋に入ると、驚いたような表情でこちらを見てきた。「こ、これ、貴方がやったんですか。」「はい、そうですが…。どうかなさいましたか?」
「いえ、こんな悲惨な姿でお亡くなりになられている方そうそういないので。少しばかり驚いただけです。」少々引きつった表情をしている。この人1人で大丈夫なのかな。と思っていた矢先、もう1人清掃員らしき人物がこちらに近づいてきた。
「あ、高槁さん。来るの遅いですよ。」どうやらこの人は高槁と言う名前らしい。顔が整っていて、とても綺麗な人だ。しかも、「女性なんですね。」
「別に貴方には関係無いでしょう。仕事の邪魔になるので、さっさとどいてください。」「す、すみません。」こ、怖い。美人さんって冷たい人が多いのかな。
「えーっと、お仕事の邪魔になるといけないなので、外で待っていますね。あとはよろしくお願いします。」私は、ぺこりと頭を下げた後、部屋から離れた広場のベンチで座って待つことにした。
さてと、情報を整理しよう。あまり集まらなかったが、2つほど有力なものがあったはず。私はメモを片手に、さっき手に入れた情報の記憶を蘇らせる 。
1つ目は名前だ。本名では無くコードネーム的なものだったけれど、これも一応手がかりになるだろう。確か、海月だったか。「最悪、クラゲ結構好きだったのに一気に嫌いになった。」
2つ目は服装だ。海月はいつもセーラー服の上に黒いマントを羽織り、左耳にピアス。そして、仮面を被っている。セーラー服ってことは、女なのか?「格好からしてだいぶヤバい奴だな。こんなのすぐ見つかるでしょ。」
私が こんな必死になっているのにも理由がある。それは… 妹を殺したクソ野郎をぶっ殺す為 だ。_