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弘美さんが真剣な顔つきで私に言った
「だから私は心配なのよ・・・これからもあの男があなたに付きまとって、大変な事になるかもしれない、先日だって、たまたま偶然怪我を負わされなかったからよかったものの、これからもそうとは限らないわ、ねぇ鈴ちゃん だから私達のマンションに・・・ 」
「あ・・・あの・・・・実はまだ二人に言ってなかったことがあるの・・・あの時・・・俊哉に襲われた時・・・実はある人が助けてくれて・・・その人・・・・俊哉の顎を蹴り飛ばして、それから俊哉は泣いて逃げ出したの・・・だから・・・もう来ないとは思うわ 」
声が詰まり、なんだか恥ずかしい、キョトンと二人が私を見つめる
「それって・・・あの俊哉が来た時のこと?その時あなた誰か男の人と一緒にいたってこと?」
「初耳だわ 」
完全な静寂がその場を支配した
どうしよう・・・きっと、私の顔は真っ赤になっているはず
私は何も言えずこくんと頷いた
そして弘美さんが驚きに動揺している
「まぁ!」
ハッと息を吸い込む
「それって――あなた・・・あなたとその彼がお付き合いしているってこと?そんなことって・・・まさか――まぁ・・・どうしましょう・・・」
彼女の気持ちが手に取るようにわかった
俊哉のDV事件が発覚した時から、私の体は傷つき・・・心も精神科にも、カウンセリングに頼らなければいけないほどだったし
ここ一年ほどは、セックスや恋愛などとは無縁のものになっていた、こんな障害を持った私は、女性の特権はすべて奪われてしまっていたようなものだ
暗くてじめじめした世界に閉ざされて、その日を生きていくのがやっとだった
体を清潔にして食事をして・・・・排泄をし、ただ生きていくだけの日々、いつまでも私は暗闇の中であえぎ、楽しみは深い裂け目に吸い込まれていた
ところが今になって、そんな私を好いてくれている男性が現れた、驚きとしか言いようがなかった
話してしまえば、この幸運が逃げてしまいそうで人に話すのが怖かった