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⚠️注意書き
・下手っぴ注意報
・翠黈
・学パロ
・他メンあり
日も沈みきった18時過ぎ。
肌に触れる冷たい空気に耐えながら、
今日も公園の一角に座り込んで、あの子が来るのを待つ。
口から漏れる息が、街灯の灯りで白く光っている。
昼間積もった雪が、ブランコの手摺りに、解けきらずにまだ残っていた。
黈「…まだかなあ」
何も無い虚空を見つめながら、小さくそう呟いた。
翠「お待たせ、っ」
暫くして、待ち焦がれたあの子がこちらへやってくる。
羽織っているブレザーが少し乱れていて、
そんなのも気にせず、急いで来てくれたんだって、分かる。
翠「ごめん、遅くなっちゃって…」
黈「んーん、平気!」
当たり前のように差し出された手に俺の手を重ねて、起き上がる。
傍に停めておいた自転車を押しながら、二人は自然と歩き始めた。
一際明るい、駅前のロータリーに通りかかり、お別れの時がやってきた。
自転車1台がやっと通れるような、
そんな、奥の方から光が滲む小さな通路の前で立ち止まる。
翠「じゃあ、またあしたね」
黈「うん、、」
翠くんをじっと見つめていると、
それに気が付いたのか、微笑をこちらに向けてくれる。
そのまま、彼の顔が近づいてきて。
「愛してるよ」
そう、耳元で囁かれ、
翠くんは俺から離れると、背を向けて夜の喧騒の中へと消えてしまった。
黈「……⸝⸝⸝」
何度されても慣れないこの感覚に、
残された俺は、一人、顔を赤くする。
薄暗い通路を吹き抜ける冬らしい風が、頬を掠めた。
黈「はぁ…、(息付」
寒さで悴んだ手に、そっと息を吐いて
今日もまた、彼の姿を待つ。
時刻は17時半過ぎ。
いつもより早く、翠くんはやってきた。
ただ、今日はもう一人を連れて。
桃「やっほー、黈!(手振」
翠くんと共に姿を現したのは、翠くんと同じ生徒会の、桃ゝだった。
桃「今日、おばあちゃんのお見舞い行くから、俺もこっちの方向なの」
「一緒に帰ってもいい?」
黈「うん!ええよ!」
俺が快く承諾すると、桃ゝは胸を撫で下ろしたようで、
桃「ありがと」
「翠にね、黈ちゃんがいいって言うならいいよって言われたから、笑」
黈「へ、?」
桃ゝの言ったその言葉に驚いて、翠くんへと目を向けた。
翠「、!(照(逸」
頬を微かにピンク色に染めた翠くんと目が合った。
すぐに目を逸らされてしまったけれど、
普段は落ち着いている翠くんの、余裕のなさそうな姿がらしくなくて、
思わず笑みがこぼれた。
黈「帰ろっか、笑」
いつもの帰り道を、今日だけは三人で歩く。
声を発する度に、白い吐息が辺りに広がり、すぐに消えていった。
ロータリーを通り抜け、いつもの路地の前に着く。
桃「ばいばい」
黈「また明日、」
桃ゝに手を振りながら、翠くんを見つめた。
翠「、またね」
黈「…ん、」
たったそれだけ、言葉を交わす。
今日のお別れは寂しかった。
桃「翠、行こー」
翠「うん」
二人とも電車を使って帰るから、仕方ないんだろうけど。
仲良さそうに並んで歩いてるのを見て、いい気はしないし。
それでも、遠ざかっていく二人の姿を、ただ見届けるしか出来なかった。
黈ちゃんと別れた後。
桃ゝは俺より早い時間の電車に乗って、病院へ向かった。
俺は今、駅構内のベンチに座って、単語帳を開いている。
その間も、別れ際の黈ちゃんが、頭から離れなかった。
明日、学校で会ったら謝っておこうかな…。
なんて考えていると、
突然、広げた単語帳に影が落ちた。
何かと思い、顔を上げる。
翠「え…、」
翠「黈ちゃん、!?」
そこには、今にも泣き出しそうな様子の黈ちゃんがいた。
ブレザーの裾を必死に掴んで、こちらを見つめている。
翠「な、なんで…(焦」
「バスの時間はっ、?」
俺が焦って尋ねると、黈ちゃんはゆっくりと口を開いた。
黈「…今日、」
「いつものやつなくて寂しかった、、(涙目」
弱々しくそう言った彼の冷たい手をそっと握る。
翠「うん、ごめんね」
自身の首元に巻いていたマフラーを外し、彼に巻いてあげる。
彼の頬をそっと撫でると、自ら頬を擦り付けてきた。
無自覚でやっているのか、それでも名残惜しそうに上目遣いをしてくる。
そんな黈ちゃんのマフラーの両端を、こちらへ優しく引き寄せる。
黈「んゎ、っ!」
大きく見開かれた、蜂蜜色の瞳。
ふわりと、やわらかな香りを纏った前髪に、小さなキスを落とした。
翠「…愛してるよ」
黈ちゃんは少しの間フリーズしていたけれど、
思考が追いついたのか、耳までみるみる赤くしていった。
黈「な…、⸝⸝⸝」
「ここ、外…っ⸝⸝」
翠「知ってるよ、笑」
帰宅する人が行き交う外には、雪がはらはらと降り始めている。
今日は、特に冷える日だ。
翠「雪、降ってきたね」
黈「あ、ほんとだ…」
翠「外、寒いだろうから、マフラー巻いときな?」
黈「うん、」
「ありがとう、っ」
お互いの指を絡めて、バス停まで一緒に向かう。
肌に触れる冷たい風も、指先から伝わる温度によって、すぐに解かされる。
こんなお別れ、たまにはいいかも
____FIN
無理やり終わらせちゃった…。
ごめんなさい。
誤字脱字あるかも。