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莉愛
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「……ダメじゃない」
やっと、言葉が出る。
「仁人さ」
声は静かで、やさしかったけれど、
「俺に、決めさせようとしてるでしょ」
突きつけられる。
「続けるか、やめるか」
図星すぎて、言葉が出ない。
「自分ではやめる気ないのに、俺に選ばせて、納得しようとしてる」
否定なんかできない。
何も言えないまま黙っていると、
勇斗は少しだけ笑った。
でもそれは、今までのどれとも違う笑み。
「ずるいよ」
「……ごめん」
やっと出た声は、情けないくらい弱い。
勇斗が首を横に振って、少しだけ間を置いて、続ける。
「俺さ、続けたいよ」
知ってる。
俺も終わりたくなんてない。
「でも」
「仁人がそれでずっと怖いままなら、無理」
静かに、突きつけられる宣告。
「俺まで壊れる」
その言葉に、胸が強く締め付けられる。
「……壊れてるのは俺だろ」
こぼれ落ちていく何かを、必死にかき集めたいけれど、
「うん」
ぼろぼろと、二人の間が崩れていく。
優しく言い聞かせるように、落ち着いた声。
「だからって、一緒に沈むのは、違うでしょ」
そうだよ。お前を沈める訳にはいかない。
独りで勝手に沈めばいいだけだ。
「俺、そんな強くないって言ったじゃん」
少しだけ笑う。
でも目は全然笑ってなくて。
「仁人と一緒にいるの、ちゃんと楽しいし、好きだし、」
一瞬だけ言葉が詰まる。
「……だからこそ」
視線が、まっすぐ向く。
「このまま続けるの、無理」
嫌な予感がした。
「やだやだやだ……」
「どしたの、落ち着いて」
流石に焦って、落ち着かせようとあたふたと目の前にやってくる。
ちっとも、かけらも、これっぽっちも。
自分の中で終わりの覚悟ができてなかった。
あんなにも終わりを確信していたはずなのに、
終わらせようとした勇斗の言葉を聞きたくなくて
ただただ、同じ言葉を繰り返す。
「じんとっ」
強く腕を掴まれて揺さぶられる。
「何がやなの。ねぇ、俺まだ……」
「やだ、嫌、嫌だ。聞きたくない。おわりなんてやだ、別れるなんてヤダ」
パニックを起こして、聞き分けのない駄々っ子のような俺を抱きしめて、ポンポンとゆっくり背中を叩かれる。
しばらくして。
ようやく落ち着いた俺を、そっと離す。
知らず泣いていた俺以上に、勇斗の方が泣いているくせに、おちついた?とか聞いてくる。
何か言わなければと思うが、
頭の中でいろいろな思いが交差して、
なにも言葉にならない。
「泣くほど嫌なのに、なんでよ…
俺まだなにも言ってないよ」
嫌。そう、いやだよ。