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剣持side



「これでよし!」



料理の仕込みを終わらせ、あとは彼が帰ってくるのを今か今かと待ちわびる


ふと窓の外を見ると一番星が我先にと輝き始める時刻だった


今日は高校生である剣持刀也と社会人である加賀美ハヤトが付き合いだして、ちょうど一年

歳の差とか、その他もろもろの事情を超えても『好き』という感情が残ってしまった自分達

これからも宜しくと改めて約束を交わすため二人でささやかな記念日を持つ事にした



「ただいま帰りました」


育ちの良さを感じる挨拶が玄関から聞こえてパタパタと急いで向かう

相変わらず羨ましいスタイルの良さで洗練されたスーツを着こなす恋人が嬉しそうに立っていた


「お帰りなさい社長」


「ただいま剣持さん」


お互いに笑顔を交わし、それぞれの疲れを労う。すぐに靴を脱ぎ入ってくるかと思いきや社長は、そのまましみじみと僕を眺めて


「すっかり私の奥さんみたいですね」



と爆弾発言をした。




「なっ!?奥さんって…」


縁のないと思ってきた言葉を突然向けられ真っ赤な顔で激しく狼狽えてしまう


「なに言って…」


「ふふ」


嬉しそうに笑う彼。

いや、僕の反応はなにも間違ってないだろ

おかしいのは、目の前のこの人だ



さらに社長は、わざとなのかと疑うほど追い打ちをかけてきた



「可愛い恋人がエプロンして出迎えてくれるなんて幸せです」


はにかみながらも大人の余裕を感じさせるセリフに

これが歳の差か…と

ドキドキを通り越してズキズキしだした心臓を手で抑える


社長といると乙女ゲーの主人公になった気分なんだよなぁ


「と、とりあえず入って下さい」


「そうですね」


やっと靴を脱ぎだした社長に安堵する


社長と付き合ってわかった事は、


意外に?いや予想通り?

どちらでもいいけど、恋人には凄く甘いという事だ

こちらが恥ずかしくて耳を塞ぎたくなるような糖度高めのセリフをサラッと言ってしまう事もある


性格という意味でも若さという意味でも僕には絶えられなくて、いつも頭はショートし最終的に逃げ出してしまう


いつか、この人と対等に気持ちを伝えられる日はくるのだろうか






「ご馳走様でした。剣持さん本当に美味しかったですよ、私の好物ばかり作ってくれたんですね」


夕食を終え、ソファーに二人で移動して並んで座る。自然な動作で社長に腰を抱かれて距離がグッと近付いた


「…社長、お酒飲まなくて良かったんですか?僕に遠慮しなくても家に居る時くらい我慢しないで下さい」


「あ、えーと…」


たびたび彼は、高校生の自分に遠慮する。社長がお酒好きな事くらい僕も知っているし、友人と会う時は楽しそうに飲んで帰ってきている様子

ろふまおの時だって、そうだ


別に僕にも飲めなんて強要するはずないのだから目の前で飲んでくれて構わない


「そ、そうですね今度は飲ませて頂きます」


「…それ前回も言ってました」


「うっ…」


「そんなに僕が信用ならないですか…?」



思ったより寂しそうな声が出てしまい慌てて自身の口をおさえる

馬鹿なことを言った

社長は、僕のために我慢してくれているのに


けど悲しかったのも事実。やんちゃとか好奇心旺盛とか周りから言われているのも知ってるし自覚だってある

だけど、その辺自分なりに弁えてるつもりだ

未成年なんだから絶対飲んだりしない

まして、社長に迷惑をかけるなんて事



「あーーっ違うんです剣持さんっ」


急に大きな声を出して前髪を乱暴にかき上げた彼は観念したかのように息を吐き


ドサッ



「えっ」



いつの間にか視界は反転。

僕に覆い被さり余裕を失くした彼の端正な顔が苦しげに僕を見つめていた



「剣持さん、お酒って理性を溶かしてしまうんです。そこに大好きな人がいたら…どうなると思います?」



「社ちょ…」



ギラギラと欲が見え隠れする瞳に目が逸らせない。生まれて初めて社長が怖いと感じるのに同時に、どうしようもなく魅せられた。





ちゅっ



額に軽く口付けられ怖くて愛しい温度がスッと離れていく



「私が我慢しているのは、お酒ではない事がわかって頂けました?」


放心状態から脱すると途端にカアアっと顔面が真っ赤に染まって壊れたオモチャみたいに首を振ることしか出来ない

そんな僕を見てニッコリ微笑む社長は、良かったと呟いた


「剣持さん。これからも一緒にいるためには、お互い沢山の我慢をする事もあるでしょう。でも貴方のためなら、こんなものいくらだって絶えられます」


僕の両手を握って上体を起こすと、そのままの勢いで胸に飛び込んだ体を抱きしめてくれた


すごく安心する





「…これからも宜しくお願いします…ハヤトさん」


こんな時に限って、鳴りを潜めてしまう僕の語彙力を恨めしいと思いながら精一杯の気持ちを込める


「ええ、もちろんです。」


多分、汲み取ってくれたであろう彼が嬉しそうに抱きしめる力を強めた






「あ、そうだ剣持さん。はいこれ」


差し出されたのは、美しい一輪の赤い薔薇。


「わぁ!キレイですね」


「花束にしてもらおうかとも考えたんですが剣持さん、恥ずかしがってしまいそうですし」


「ど、どうせおこちゃまだって思ってるんでしょ」


ジト目で見上げると、思ってませんよ?なんて言いながら顔にデカデカと書いてある気がした


「それに一輪の薔薇の方が貴方に相応しいかと」


「え?」



「一輪の薔薇の花言葉は…」













私には、あなただけ。










おわり



個人的に社長と一緒にいる時の剣持大好きです。意外と剣持が甘える大人って数少ないですよね

やんちゃになるのも安心して甘えてる証拠だと思うとニヤニヤが止まりませんw

大人を侮っては、いけない。【🌈bl⚔️受け固定】

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コメント

6

ユーザー

わーぉ!神作品!

ユーザー

やばいめっちゃすき〜😘 かがみもち大好きなんで、 ありがとうございます!!

ユーザー

かがみもち好きです。ありがとうございます!(´▽`)

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