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私は今、戦火の真っ只中にいる。
そこは、銃弾が飛び交い、血の海が広がっている。
少しでも気を抜いたら、私もあの鉛弾の餌食になるのだろう。
『ニシク セイアツ カンリョウ。 タダチニ ホンブヘ キカンセヨ。』
赤い海が何倍にも広がった頃、私の無線はこう言った。
本部に戻ると、色々な地区担当の人たちが集められていた。会議だろうか。
「ドール、」
誰かに声をかけられた。この声は確か…
「少佐…、お疲れ様でス。」
私は振り返って敬礼をした。
「…私の隊の損害はどうなったかわかるか?」
「はイ。負傷者20名、死亡者15名でス。他、私を含めた5名は何ともありませン。しかシ、医師によるト、疲労が見られる。とのことでス。」
私が死亡者の報告をすると、少佐はいつも決まってあの顔をする。
確か、「悲しむ」というものだったはず。
「…死んだ者たちのためにも、必ず勝って国に帰らなければならない。」
「はイ。少佐。」
敬礼をすると、少佐は少し何かを考えて、
「言い忘れていたが…、さっきの会議で、私は中佐になった。」
と言った。私は何と返せばいいのかわからなかったが、
「おめでとうございまス。これからは、中佐とお呼びすればいいのですネ。」
と、他の人が言っていたことを真似た。
「……君も心から何かを言えるようになればいいね。」
中佐がそう言うと、私のツクリモノの左手と心がギシッと音を立てた。