今日で、私たちの西区での仕事は全て終わった。
犠牲は、私たちの隊だけでも20は超すだろう。
中佐は、いつものようにうつむいて、何かを考えているようだった。
「お疲れ様でス、中佐。」
「…あぁ、お疲れ、ドール。」
中佐は我に返った。
「何を考えていらっしゃるんですカ?」
やっぱり、私は言葉を発するのが得意ではない。
「…戦友の死はずっと見てきた。でも、いつまで経っても慣れないな…って。」
中佐はいつも以上に悲しそうだった。
この「悲しむ」という、人間の感情を理解できたらいいのに。
『少佐、悲しむとハどのような事なのですカ?』
今よりもずっと前に、いつかそう訊いた覚えがある。
『そうだな…、大切なものが消えて無くなった時に感じるもの…、かな?』
『それガ理解できないのでス。』
『正直、説明ができないものなんだよ。』
『そうですカ。私にハ、到底理解できそうニないでス。』
『…ははっ…、それはどうだろうね。人形だなんて言われてるけど、君も人間なんだから、いつかはわかるよ。』
「ドール、明日から私たちは南区の加勢だ。補充兵に連絡を入れておいてくれ。」
「はイ。」
やっぱりどうしてもわからない。人を殺すこと以外、私は考えることができない、私は人形とほとんど同じなのだろう。
人間でも、私は全てツクリモノなんだ。
コメント
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めっちゃブァイオレットエバァーガーデンみたい。 (この回しか読んでない。)