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同時刻。『はじまりのまち』。


「お兄さん! 早く早く!」


「ちょっ、待てよ! リル! そんなに急がなくても出口は逃げやしないぞー!」


「えへへー、待ちませんよー」


「あっ! こら待て!」


俺の名前は『布田《ぬのだ》 政宗《まさむね》』。

俺の前を走っているのは少し前に俺が助けた黒髪ロングの美少女……いや美幼女『リル・アルテミス』だ。


「おいおい! さすがに、はしゃぎすぎだぞ!」


「わーい! フリフリのスカートだー!」


彼女は白い半袖の服に膝《ひざ》の少し上のあたりまである黒いスカート、膝《ひざ》の少し下まである白いハイソックスと黒い靴《くつ》を身に纏《まと》っていて、まるで『ア○レちゃん』のように腕を水平に伸ばして走っている。


「おい! 危ないぞー!」


「えへへへー、全然、危なくなんかないですよー」


その時、少女の目の前に馬車が現れた。少女はそのまま馬に接触しかけた。

しかし、その直後、マサムネはリルを守るためにリルの前に出た。


「布田式|抹殺術《まっさつじゅつ》……壱《いち》の型《かた》三番『|部分抹殺《ぶぶんまっさつ》』!」


彼の拳《こぶし》は馬の首の肩先にクリーンヒットした。

その直後、馬はヘナヘナとその場に座りこんだ。


「おい! リル! 大丈夫か! ケガしてないか!」


恐怖のあまりその場に立ち尽くしているリルの体を揺《ゆ》する『マサムネ』。

リルは無言でその場に両膝《りょうひざ》をついた。


「う……うわあああああああん! お兄さーん! 怖かったよおおおおおお! うえええええええん!」


マサムネはリルを優しく抱きしめた。


「もう大丈夫だ、安心しろ。それに、お前には俺がついてる。だから、もう泣くな」


「ごめんなさい! 次からは言うこと、ちゃんと聞きますから! だから! だからああああああああ!」


「おいおい、あんまり泣くと可愛い服が涙でシミになるぞ? あと、お前に涙は似合わないから、もうそろそろ泣き止んでくれ」


「う、うん、そうする。ありがとう、お兄さん」


マサムネはリルをお姫様抱っこすると、家や店の屋根をピョンピョンと身軽に渡っていった。

その光景を目の当たりにした、まちの人たちは口々に驚嘆《きょうたん》の声を漏《も》らした後《のち》、自分たちの日常に戻っていった。



数分後、二人は『はじまりのまち』の出口が目の前に見えるほどのところまでやってきた。


「ほい、到着。立てるか? リル」


「ごめんなさい! ご迷惑《めいわく》をおかけしました!」


「いいんだよ、そんなことは。それよりも無事で良かった」


マサムネはリルの頭を撫でながら、そう言った。


「ホント、良かったですね」


「ああ……って、今なにか言ったか? リル?」


「いいえ、私は何も……」


「上ですよ。うーえ」


『上?』


二人が上を向くと、黄緑色のショートヘアと緑色の葉っぱでできた服と四枚の天使の翼とエメラルドグリーンの瞳が特徴的な体長十五センチほどの『妖精』がいた。

妖精はマサムネの頭の上に乗ると自己紹介をした。


「私は妖精型モンスターチルドレン製造番号《ナンバー》 十一の『イレブン』です! どうぞよろしくお願いします!」


「モンスター……チルドレン? なんだそりゃ?」


「私、聞いたことがあります!」


「本当か! リル!」


「はい! えーっと、たしか……」


「かつて、この世界を恐怖のどん底に落としいれた伝説の五体の龍『五帝龍《ごていりゅう》』。それを追い払い、その五体の『ウロコ』のようなものを加工し、一手間加えた後《のち》、幼い女の子にモンスターの力を与えることのできる薬を作った。それをその子たちに注射し、少子高齢化を改善するための道具して誕生した存在であると同時に子どもを産んだあと、一年以内に必ず死んでしまうというデメリットがある不完全な存在。それが私たち【モンスターチルドレン】です」


イレブンは冷静な口調で、そう言った。


「……あの人の考えそうなことだな」


「お兄さん。今、何か言いましたか?」


「いや、なんでもない。それで? そんなモンスターチルドレンの一体である『イレブン』が俺たちに何の用だ?」


『イレブン』はマサムネの頭の上から離れた後、四枚の翼を羽ばたかせると、彼らの目の前まで移動した。


「それはですね。あなたの高校時代の同級生を一箇所に集めてほしいんです!」


「ふーん、それで? 俺たちにいったい何をさせる気なんだ?」


「さあ? そこまでは聞いていません」


「そうなのか。というか、お前を作ったのはどこのどいつだ?」


「身長『百三十センチ』の『|純潔の救世主《クリアセイバー》』という人物です」


「……なるほど。この世界でもあの人は最強ってわけか」


「お兄さん、どうかしましたか?」


「いや、なんでもない。じゃあ、まずは馬車でも用意してもらおうか」


「あー、それは必要ありませんよ。風でできた絨毯《じゅうたん》を呼べますから」


「そうか。けど、間違っても『筋斗雲《きんとうん》』とかは呼ぶなよ?」


「分かってますよ。あまり、私をからかわないでください!」


「はいはい、分かった、分かった」


「お兄さん、嬉しそうですね」


「そうか? まあ、こんなにわくわくするのは、あの高校にいた頃以来だからな」


「あのー、高校って何ですか?」


「ん? お前、学校に行ったことないのか?」


「……私は幼い頃の記憶がないんです。覚えているのは痛みと苦しみと飢《う》えと悲しみと惨めさと」


マサムネはリルをギュッと抱きしめた。


「つらかったよな。だけど、これからはどんなことがあっても俺が守る! だから……」


リルも彼をギュッと抱きしめた。


「私は、お兄さんと出会えたことで今までのつらい気持ちがきれいさっぱり消えてしまいました。だから、これからはお兄さんと妖精さんとの思い出で空っぽになった私の心をいっぱいにしていきたいです!」


マサムネはリルに視線を合わせた。


「そうか……なら、行くか!」


「はい! お兄さん! いいえ、兄様!」


「兄様か……悪くないな」


「ですよね! ですよね!」


「まあ、少し照れくさいけどな」


その様子を見ていた妖精は、こんなことを言った。


「あのー、もう出発しますけど、大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫だ。というか、もうこのまちを離れないといけないんだな」


「また戻ってこられますよ! きっと!」


「それもそうだな。よし! それじゃあ、出発だ!」


「アイアイさー! 来い! 風の絨毯《じゅうたん》!」


その直後、彼らの目の前に薄黄緑色の風でできた絨毯《じゅうたん》が出現した。


「さあ! 二人とも乗ってください! 旅の始まりですよ!」


「よし、じゃあ行くか! リル!」


「はい! 兄様!」


『せーの!』


二人は同時にその上に乗った。


「しゅっぱーつ! 進行!」


妖精は風でできた絨毯《じゅうたん》に、そう言った。

すると、それはものすごいスピードで空を飛び始めた。

『はじまりのまち』からドンドン離れて行くのを二人は少し寂《さび》しそうに見ていたが、お互いの顔を見るとニッコリ笑った。


『進めー! ゴーゴー!』


どうやら二人は、空の旅を楽しむことにしたようだ。



えっと『キミコ』は今、眠《ねむ》ったから、しばらくは安心だよ、な?

俺がそんなことを考えながら、ミノリ(吸血鬼)たちがいるであろう部屋に行った。


「みんなー、いい子にしてたかー……って、あれ? みんな、いないな。どこに行ったんだ? というか、名取《なとり》もいないな」


俺は辺りを見渡したが、これといって変わったところはなかった。


「もしかして『かくれんぼ』かな?」


俺がそう言うと、どこかでガタッという音が聞こえたため『かくれんぼ』をしていることが分かった。


「どこに隠れたのかなー? うーん、ちゃぶ台の下かなー? それとも台所かなー? それとも……」


「だーれだ?」


その時、急に目の前が真っ暗になった。俺はあわてて、それを手で振り払おうとした。


「だーれだ?」


どうやら、自分が誰なのかを当ててほしいらしい。俺は心の中でため息を吐《つ》くと、自分の予想を言った。


「……えーっと、シオリかな?」


俺がそう言うと、シオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)は俺の両目を手で隠すのをやめた。


「せいかーい! さすがだね、ナオ兄」


シオリは両手を振り上げながら、いつも通りのジト目でそう言った。(シオリはずっと固有魔法を使って俺の真上にいたらしい)


「まあ、最初はルルかと思ったけど、あいつなら『私は誰でしょうー』って棒読みで言いそうだから、お前だと思った」


「そっか。でも、自分に固有魔法を使ったのは初めてだったよ」


「たしか重力を操る魔法だったよな? それじゃあ、他のみんなは……」


「はい、固有魔法解除」


シオリが合掌《がっしょう》すると俺の部屋の外からドサッ、ドサッという音が聞こえた。


「手の込んだ『かくれんぼ』だな」


「たしかにそうだけど、私は楽しかったよ。それに」


「それに?」


シオリはピョンと、かわいくジャンプして俺の体にしがみつくと、そのまま俺の目線まで自分の顔を近づけた。(俺はシオリが落ちないように支えている)


「ナオ兄、お疲れ様。そんなナオ兄には、ご褒美《ほうび》をあげます」


「ん? なんだ? 何をくれるんだ?」


「えっと、とりあえず目を閉じてくれる?」


「あ、ああ。分かった」


俺は静かに目を閉じた。


「大好きだよ……ナオ兄」


その直後、俺の額《ひたい》に小さくて柔《やわら》かくて、かすかに熱を持った『何か』が触れた。俺がそっと目を開けると、俺の目の前にシオリはいなかった。


「はい、終わり。もうすぐ着《つ》くから早く外に来てね」


その代わりに、こちらに背を向けた状態でトテトテと玄関に向かって走っていくシオリの姿があった。


「今のは、やっぱり【キス】……だったのかな? うーん、まあ、いいか。おーい! 待ってくれよー!」


やっと、ナオトたちの冒険の旅が再開する。

しかし、この時は誰も気づいていなかった。その火山には、とても重要な秘密があることに。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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