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15cmの身長差

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15cmの身長差

5 - 第5話

♥

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2025年05月31日

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「……今日はなんか、もう、だめかも」

そう言ってソファに沈み込んだ初兎は、どこか元気がなかった。

レコーディングのスケジュール、SNSの更新、動画の編集。

「頑張り屋」の名がつくほど走り続けたその足が、少し止まった。


「初兎、おいで」


「……なに」


「おいで。ちゃんとこっち」


隣に座ったいふが膝をとんとんと叩く。

渋々体を動かした初兎がそこに近づいた瞬間――


ぎゅっ、と大きな腕に包まれた。


「なっ……!?」


「今日はもう、なーんもしなくていい。甘えて? 全部俺がやるから」


「ま、まろちゃんなに勝手に……!」


「はいはい、文句は後で。今はただの“がんばりすぎた人”なんだから」


頭を撫でながら、背中を優しくさする。

その手つきは、まるで子どもをあやすみたいに優しかった。


「お前さ、ずっと前から頑張りすぎなんだよ」


「……そんなこと、ないし」


「ある。俺が見てる。誰よりも近くで、見てる」


「まろちゃんだって…」


初兎が何か言いかけて、でも口をつぐむ。

その代わり、そっといふの服の裾を握った。


「……もうちょっとだけ、このまま」


「うん。何時間でも抱いててやる」


「バカ」


「俺は初兎バカだから、問題ない」


その言葉に、初兎の肩がふるふると揺れる。

泣いてるのか笑ってるのか、わからないまま、

ただそっと、深く深く、抱きしめ続けた。

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