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家庭科室に着くと真っ先に実里くんがこちらにやってきた。
「せーんぱい! 遅いよー」
笑顔で私に抱きついてこようとしたけれど、隣にいるののみちゃんに気がつき腕を下ろした。
「……なんでその子もいるの?」
僅かに眉間に皺を寄せて、実里くんが視線を私に戻す。
「……ダメかな?」
「別に良いけどー」
実里の後ろにいた潤がにっこりと微笑み「お茶入れるね」と言って、お茶の準備に取りかかりはじめた。
手伝おうと足を進めようとする私の前にあの騒がしい人物が立ちはだかる。
「ましろん! 聞いてくれ!」
今日もハイテンション武蔵先輩の登場だ。
「……なんでしょうか」
何故か活き活きしている。武蔵先輩がそういうときは嫌な予感しかしない。
「め! 」
「はい?」
言っていることの意味がわからずに眉根を寄せていると、武蔵先輩は自分の頬に手を添えた。
「鈍いな!」
「ええっと」
「今日の俺はいつもと違うだろう!」
ぐっと近づいてきた武蔵先輩に思わず身構えた。瞬きを尋常じゃないほどの速さで繰り返している。
「ひっ!」
あることに気づき、顔が引きつる。
「つ、つけ睫毛……つけてますよね」
「一度でいいから俺もつけてみたかった! かわいいだろう!」
「ごめんなさい、全然かわいくないです……」
むしろちょっと怖い。
けれど私の反応が気に食わなかったのか、頬を膨らまして拗ねてしまった。
ちらりと周囲を確認すると潤は聞こえていないかのように全く気にしていないし、実里くんは顔を顰めている。
そろそろ止めておかないと。
「武蔵せ」
「武蔵先輩ってすごくおもしろいですよね! 」
私の言葉を遮るようにののみちゃんが元気な声を上げる。
武蔵先輩は褒められたのが嬉しいのか、大はしゃぎでののみちゃんと話しだす。
ののみちゃんも頬を染めながら楽しそうに答えている。すごいな。私なんて最初戸惑っていたのに。
#ファンタジー
#ざまあ
設楽理沙