一方、ガイアは、夜のモンドの街を歩いていた。彼の足取りは、店の時よりもずっと軽やかだった。
(ディルックも、相変わらず不器用だな…)
ガイアは、ディルックの冷たい言葉の裏にある優しさに気付いていた。店から出て行けと言われた時、ディルックの目が少し揺れたのを、ガイアは見逃さなかった。
フッ、と笑みが零れる。
(俺のこと、心配してくれてるんだな)
ガイアは、ディルックの不器用な愛情が嬉しかった。それは、彼の自己肯定感を少しだけ高めてくれる、温かい光だった。
彼は、自分の秘密をディルックに打ち明けるつもりはなかった。それが、彼なりのディルックへの配慮だった。自分という重荷を、ディルックに背負わせたくなかったのだ。
(俺は、俺らしく、この街で生きていく)
ガイアは、モンドの街を見下ろせる高台に登った。月明かりが、彼の蒼い髪を照らす。彼は、夜空に輝く星々を見上げながら、ディルックとの昔の思い出を思い出した。
いつか、二人の心が完全に重なり合う日が来ることを、ガイアもまた願っていた。
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