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誰も知らない、高嶺の花の裏側2
第49話 〚差し出された声〛(りあ視点)
昼休みの教室は、ざわついているのに、
りあの周りだけが不自然に静かだった。
謝ったあと、何かが大きく変わったわけじゃない。
席を立つ人はいるけれど、
誰も、りあの方を見ようとしない。
——分かってた。
すぐに許されるなんて、思ってない。
それでも、
胸の奥が、ひどく冷たかった。
(……私、ずっと一人だったんだ)
友達だと思っていた関係も、
「一軍」という立場も、
全部、音もなく消えていた。
机に伏せると、
視界が滲む。
その時だった。
「……りあ」
小さく、名前を呼ばれる。
顔を上げると、
そこにいたのは——澪だった。
一瞬、息が止まる。
(……なんで)
責められるのかもしれない。
距離を取られると思っていた。
でも、澪は静かに、
りあの隣の席に立った。
「大丈夫?」
それだけ。
責める言葉も、
疑う視線もない。
ただの、問いかけ。
その瞬間、
りあの中で、何かが崩れた。
「……大丈夫じゃ、ない」
声が震える。
「ずっと、孤独だった」
「強いふりして、嫌なこと言って……」
「でも、結局、誰も残らなかった」
涙が、止まらない。
澪は、何も言わずに聞いていた。
急かさず、否定もせず。
「……話しかけてくれて、ありがとう」
りあがそう言うと、
澪は少し困ったように笑った。
「一人でいるの、つらいから」
「……それだけ」
その言葉が、胸に染みる。
救われた、と思った。
全部が許されたわけじゃない。
でも——
この世界に、
もう一度立っていい場所がある気がした。
窓の外を見ると、
朝の雨は、いつの間にか止んでいた。
りあは、初めて気づく。
——孤独の終わりは、
派手な奇跡じゃなくて、
たった一つの、静かな声から始まるのだと。