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言いたいことはたくさんあった。
他人の曲を、他人が演ったとおりに、しかも一音残らずやるだけならば、お前らのオリジナリティはどこにいくのだ、そうしたら、お前らが生きてる証はどこにあるのか。
しかし、それを言うのには、俺はもう飽きた。こんなことが、大学に入って以来三年も続いている。
一年生の山田奈保子が「健太さんがおっしゃるのもわかるんですが、やっぱり、今回はコピー曲の方がいいのではないか、と私は個人的には思います」という。
こいつも、幹事長に同調か。
そのうち、話は「思い切って、ミューズ系をやりませんか」という、馬鹿丸出しの極致の方に向かった。
俺は煙草を床に落とし、ブーツの爪先で消す。アンプのスイッチをオフにすると、ブシュッと音がして、弦の音が消えた。ギターをケースにしまう。
「どうした健太」と卓。
「今回は降りる」
待てという声の中、スタジオを去った。