その手を掴むまで

佐久間が困っているようなので

「自分の首にリボンでも結べば？」と言いそうになり慌てて口を閉じた。

流石にそれはマズイ。

帰りながら1人笑いそうになって口を押さえた。

渡辺は、自分の時を思い出す。

何度も逃げたし泣いたし大騒ぎだったが、佐久間達はどうだろう？

と考え、「人のことに首突っ込むな」

目黒が言ってた言葉。

頭を振り気持ちを切り替え、目黒の元に帰って行く。

佐久間は岩本に聞く。

佐久間ー照は俺が何したら嬉しい？

岩本ーお前をくれたら嬉しい。

佐久間ーえっと、あぁいうこと？

岩本ーそのうちな。

佐久間ー今はいいの？

岩本ー無理だろう？

佐久間ーうん、無理。

岩本ーそれから、翔太にあれこれ聞くな。

佐久間ー何で？

岩本ー分からないことは俺に聞け。

佐久間ー照・・。

岩本ー翔太から、2人で解決しろって電話があった。

佐久間ーあいつ〜。

岩本ー俺もそう思う。

佐久間ーん、俺達のことだもんな。

岩本ーそういうこと。

2人が愛し合うのはまだまだ先のことだろうけど、確実に愛は育っている。

目黒と渡辺はあまりベタベタしない。

渡辺が怒るからだ。

結婚しても、恥ずかしいものは恥ずかしい。

さりげなく目黒がそばにいるくらいだ。

佐久間は岩本に甘えてる。

岩本は当たり前のように受け止めている。

目黒は「羨ましい」と言い「バカ」と渡辺に言われている。

2人きりにならないと渡辺は甘えてこない、目黒はちょっと不満なのだ。

岩本ー俺はいつまでも待てるから。

佐久間ー分かった。

岩本ー進んでいい時が来たら教えてくれ。

佐久間ーん。

2人の恋はあっさり始まったが、これから先に山がある。

佐久間がいつ乗り越えて行くか。

岩本は山の向こうから手を差し伸べている。

その手を掴むのはいつになるか分からないが、そう遠くない気がする。

完